語り合う場は貴重です

ユング心理学の読書会つづき
先週、今年は新しい本(『ユング心理学入門』山根久美子著)で対面の読書会が始まることを伝えました。
私が個人的に好きなユング心理学に対して他の人はどんな感想を持つのか、そんな興味もあって、読書会の本に選んだと書きましたが、読書会の前に投稿したこともあり、反応のご報告は今週になりました。
読書会でお聞きすると、やはりみなさんにとってユングはなじみのない存在だったようです。
が、著者がご自身の経験を踏まえて説明をされているので、読みやすいという感想もありました。
ユングはフロイトと同様に無意識の存在を掘り下げた人です。
両者は数年間蜜月ともいえる関係を築きながらも、無意識に対する見解の相違で袂を分かちました。
著者の山根さんによれば、フロイトにとって無意識は、抑圧され、排斥された願望の在りかであり、どこかネガティブな存在だが、ユングにとって無意識は、創造的で生命力と可能性に満ちた、ポジティブな側面を持ち合わせた存在であったといいます。
その上で著者は、こころを「家」に見立てています。
普段生活しているメインの部屋が「意識」、それ以外の部屋が「無意識」。
後者の中には、「たまに行く部屋」「あまり行かない部屋」「使わないものを置いておく倉庫」「地下室」などが含まれます。
「たまに行く部屋」は「意識」に近く、「アクセスしやすい無意識」である一方、「使わないものを置いておく倉庫」は「意識」が棚上げしておきたいことをしまっておく場所、残りの2つの部屋はほとんど意識したことがないことや意識したくないこころの部分を表しているとしています。
私にはこの例えはわかりやすいと感じられたのですが、参加者のおひとりからは、ちょっとわかりにくいという感想が寄せられました。
確かに「倉庫」や「地下室」にあたるものは、日常生活で意識されないことが多く、ピンとこないものなのでしょう。
いつも人の無意識に関心をもっている私にはしっくり受け入れられることも、他の人にはそうではない。
当たり前のことですが、ともすれば忘れてしまいがちです。
いろいろな人の発言を聞くことそのものが大事なのだと、毎回教えられています。
「無意識」の中身を知るために、ユングはフロイトと同様に夢分析を行いました。
起きている時間は「意識」が優勢であるため、寝ている時間に「無意識」から発せられるメッセージである夢が素材として重要だからです。
みなさんがどんな夢を見るのかお聞きしてみました。
当然ながら答えはさまざま。
ほとんど覚えていない人、同じ夢をよく見るが少しずつその内容が変わってきているという人…。
私自身も記憶に残っている夢は数少ないですが、断片的な場面とそのときの感覚を記憶しているものはあります。
一般的に焦点を向けると情報が集まってくるということがあるので、夢に関心を向けると「無意識」がメッセージを送ってくれるのかもしれませんね。
改めて夢に注目してみたいと思いました。
読書会のいいところは、一冊の本を共通のテーマとして話し合いができるところです。
もちろん本の話をしていても日常的な話題へと展開することが多くなります。
それはそれで興味深いですし、みなさんが思いついたことを話すのも自由でいいものです。
テーマがあるので、折をみて話を戻すことができます。
ある参加者の方から、こうした場はあまりないので1か月に一度でも楽しみにしている、とお聞きしました。
多分探したら同様の場はたくさんあるのでしょうが、ここもまたひとつの居場所となっているならうれしいことです。
望まれる限りは続けていけたらいいなと思っています。
(2025年1月26日 岩田)