環境は人をつくり、国をつくる

地政学から学べること

先週末は山梨で同窓会に出席し、その後山中湖村に引っ越した叔母のところを訪ねていました。
山中湖は富士五湖の中でも富士山に最も近く、湖からは迫力のある富士山が間近に迫って見えます。(上の写真は夕刻の山中湖を撮影したものです)
久しぶりの富士山の全景は、確かに霊山と呼ばれるにふさわしい気高さで、思わず居住まいを正したくなりました。
近くに住んでいたら見慣れてしまうのかもしれませんが、それでも朝に夕に富士山の雄姿が目に映ったら無意識のうちに何かの影響をうけるのではないでしょうか。
私たちの人格は、生まれ育った土地や、関わりのあった人たちからの学びによって形成された部分も大きいですね。
自分自身をふりかえっても、何を大事にすべきか、自分を守るためにはどんなことに気をつけるべきか、そのようなことを自然に吸収してきたように感じます。
それらがその人の個性をつくりますが、国もまたそれぞれ個性をもっているようです。

最近「地政学」という言葉を目にするようになりました。
何か一冊読んでみようと思って、縁があったのが、田村耕太郎著『地政学が最強の教養である』です。
では、地政学とはなんでしょうか?
著者の定義では、「価値判断をいったん横に置いて、科学的観察のアプローチで、地理的な条件に注目して、国の行動を予測する学問」だそうです。
私たちは自分の枠のなかでものごとをとらえ、善悪などを判断しがちです。
一旦自分の立場を離れ、別の視点に立ってみることが求められる地政学は、実は個人の人間関係にも有効だと感じました。
今世界の情勢が混とんとする中で、自国からの視点だけでは解決策を見いだせないでしょう。
例として、著者は「もし自分が、領土は日本の国土の45倍の広さだが、その6割が永久凍土で8割に人が住んでいない大国で、国の中に190近い少数民族を抱えるリーダーであったら、どんな風に世界が見えるか、というロールプレイングである」と書いています。
確かにこちらから見たら不可解な行動であっても、視点を変えたら理解できないこともない、というように変わるのかもしれませんね。
そして世界の国を大別すると、ランドパワー(大陸国家)とシーパワー(海洋国家)の国に分かれるそうです。
ランドパワーはロシアや中国のようにユーラシア大陸で国境の多くを他国と接している国。
他国に攻められる前に自ら攻める攻撃的な特徴があるのだとか。
一方のシーパワーは、国境の多くを海に囲まれた国々。
イギリス、日本はわかりやすいですが、アメリカも島国なのだそうです。
領土に固執するより、貿易や金融で関係国に影響を与え続ける戦略をとる傾向にあるとのこと。
それぞれの地理的な特徴が、国の歴史を築き、現在の意思決定に影響を与えています。
意思決定するのは人間ですが、常に富士山が目に入るところと、凍土や砂漠に囲まれたところでは、基本的な判断基準が異なってきても不思議はありません。
さらに今後の行動を予測するのも地政学のようですが、気候変動など複雑な要因が重なると、難しそうですね。
ただ思考実験としてシュミレーションは可能です。
世界の国々のそれぞれの地理的条件と歴史の関係を考察してみる。
その上で今後を予測し、自国の行動を選択する。
こうしたプロセスは、人間関係を良くすることと共通します。
世界がどのように動いていくのかわかりませんが、身近なところでは相手の視点に立ってみることが大事だと感じます。

(2026年2月1日 岩田)

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