バランス感覚がもたらす存在感
冬季北京オリンピック閉会
2年以上、連日恐怖を煽るように報道され続けてきた新型コロナの新規陽性者数が、2月中旬からわずかに減少傾向を見せ、「第6波」のピークアウト報道が、ちらほらとなされるようになってきました。
しかし、入院患者数や重症者数は未だ増加傾向にあって、なかなか手放しで楽観視して収束を宣言することができないような状況です。
まだまだ気を許さずに、感染予防に意識を持ちながらも、同時に新しい社会活動にもそろそろ意識を向けて行きたいものですね。
昨年の夏季東京オリンピック同様、コロナ禍の中で2月4日に開会した冬季北京オリンピックも、今日20日に閉会式を迎えます。
今回は珍しく、ライブで中継を見ることが少なくほとんど録画で観戦するのみでした。
私は、中学の時に担任の先生の勧めで、新設の水泳部に人数集めで誘われて入部したことはありますが、それ以外はもっぱら実践よりもスポーツ観戦を趣味にして来ました。
ゴルフとプロレス以外は、ほとんど見てきました。
中でも、野球、柔道、バレーボール、水泳、アメフト、ボクシングなど、国際試合での日本選手の応援は今でも熱心にしています。
加えて、マラソンや駅伝も大好きです。
ちょんまげ姿がトレードマークの福士加代子さん
そんな中、2月3日に関西テレビで放映された「『私が最後に走る理由』ラストメッセージ―――福士加代子」という1時間ドキュメント番組を録画で見て、とても感慨深く、今日のこのブログで取り上げたいと思いました。
彼女をご存じの方も多いと思います。
日本女子陸上界で、オリンピックに4大会連続出場を果たした唯一のランナー。
オリンピックでは残念ながらメダル獲得はなりませんでしたが、日本国内では勿論のこと、世界陸上やアジア大会では数々のメダルと新記録を生み出しています。
高校時代までは無名の選手でしたが、ワコールに入社して以来、指導者に恵まれてめきめきと力をつけて、トラック競技では日本最強長距離ランナーの称号を欲しいままにして活躍。
そしてその強さと共に、飾らない明るさは日本陸上界のイメージをも変えてきました。
「強さ、優しさ、ユーモア」
何故、こんなに心を惹かれたのかと考えて見ますと、私が学んでいる人間学(心理学)セミナーの中で、バランス感覚を持つことの素晴らしさを教えられて来たことが重なります。
バランス感覚とは、「強さ、優しさ、ユーモア」が大事だということ。
強さは積極的なもの。熱心な努力。優しさは、受容的で共感力を伴うもの。
ユーモアにはとても深い意味が含まれますが、それらを融合して人格を形成していく。
そして、目指す「存在力」を養っていくというものです。
何のためにかというと、勿論自分の人格形成が基本にはなりますが、特に対人支援を生業にして人と関わるためには、とても大切な要素となります。
理想通りに出来る出来ないという結果に関わらず、少なくともその方向への意識と努力は大切にしたいと思っています。
内面から滲みでる「存在感」
福士加代子さんの言動に私が感動したのは、彼女の生き様そのものだったのです。
「走って良かったことは、『自分を見つけられたこと』」「ぶれてて芯が無かった自分が、ようやく嫌いな部分も含めて、自分が好きになれた」と、振り返って語ります。
このランナーはただひたすら自分と向き合ってきました。
後輩たちには、「周りの人に応援されても、自分で受け入れられなくなる(期待に応えられない)時がある。そういう時、自分で自分を応援した方がいい。そうすると、自分の軸が出来てくる」と、体験を淡々と語ります。
この3月で40歳を迎える、福士加代子さん。
昨年に現役引退表明をし、2022年1月16日、故郷の青森代表として、中高生と一緒に全国都道府県対抗女子駅伝に、10kmアンカーで出場。現役選手としてできる最後の恩返しの思いを込めて走りました。
ラストランは、1月30日大阪ハーフマラソン。沿道からは、「頑張れ!」、「有難う!」「お疲れさん、今まで有難う。」「「いっぱい元気をもらったよ!」の声が乱れ飛ぶ。
ゴール後に開かれた引退セレモニーでは、増田明美さん、有森裕子さん、高橋尚子さん、千葉真子さん、野口みずきさん…ら歴代の日本女子長距離ランナーが参加しての花束贈呈。
最後のメッセージで、走り続けた理由を問われ、「たくさん走って来ました。走るたびに自分とよく会話をしてきました。希望と不安と悩みの中で…。でも止めたくなかったかなぁ。走るの楽しかったから。だけど、走れなくなっちゃったので、終わりにします!」と、笑顔で締めくくる姿は、とても輝いていました。
引退後も、ワコールに残って、陸上競技の普及活動を行う予定とか。
人は皆、それぞれの与えられた舞台の上で、最高のパフォーマンスをしながら、「存在力」と「影響力」を発揮していくのだなあと、今更ながら一層感慨深く思わされました。
番組最後に映された、2月19日発売の『福士加代子』サイン入り書籍10名様プレゼントのお知らせに、初めて、応援と感謝を込めて番組HPに応募しました。
(2022年2月20日 若杉)