先人の教えに襟を正す

誕生日に感謝を捧げる

先週の日曜日に、72歳の誕生日を迎えました。丑年生まれの年女です。
ネットでは、丑年生まれの人の今年の運勢は下降気味だと書かれているものもあれば、運気が良いというものもあって、高低様々書かれています。
性格も、「自身の人生に対する理想と野心を持ち、家族と仕事を大事にします。忍耐力と向上心が強く、コツコツと努力することで目標を達成できます。」とありました。
ここまでは、なるほどと受け入れやすかったのですが、「コミュニケーションが不得意で、頑固…」という表示には、まぁ否定もできないし…で、――ハイ、有難うございました――と思いながら、ここで納めることにしました。勝手なものです。
いずれにしても生死を危ぶまれる大病を何度も超えてきて、よくぞここまで生きてくることが出来たと、両親を始め、ご先祖さまや関わってくださった皆様、環境に心から感謝の思いが沸き上がってきます。
沢山の経験をして、いろいろな方たちに師事して、学びと気づきを頂いたお陰で、いまここの意識や思考、感情を育てていただいてきたことに、改めて有難いことだと痛感しています。

食べれなければ、飢えて死ぬしかない

10年くらい前に、何かのきっかけでかなりのマイナス思考に陥って、「これから先、経済的にもっと苦しくなって食べていけなくなったらどうしよう。」と、切実に訴えるようにある人に話したら、即座に「その時は、飢えて死ぬしかない!」との潔い回答が返って来て、衝撃的ではありましたが、「確かに…」と深いところで納得したことが思い起こされます。
生きる意味も目的も、人生が何たるかも知らず、真剣に求めることもせず、浅い表面的な生き方をしてきた幼い自分の執念や意識が、バッサリと切り捨てられた瞬間でした。
それから何年か過ぎて、読書好きの友人から、1冊の本が紹介されました。
いつも新刊された興味深い本を一早くご自分で購入されて、読まれた後、惜しげもなく周りに紹介して貸してくださり、まだ新しい内に図書館に寄付されるという奇特な友人です。
それは、関大徹という禅僧が書かれた本で、『食えなんだら食うな』 という驚愕的なタイトルでした。
興味はありながら、強い抵抗感があって、手に取ることも出来ずに、その時はやり過ごしてしまいました。
その本の行き先がどこにあるかを知っていたので、今が時だと思って、先月の末に決意してお借りしたいと申し出て、読ませていただきました。

明治36年に福井県でお生まれになり、13歳で得度されて、75歳の時に執筆された本。
既に廃刊になっていたのが、2019年6月に復刊されたようです。目次には、「病いなんて死ねば治る」「無報酬ほど大きな儲けはない」「ためにする禅なんて嘘だ」…と、衝撃的な小題が並びます。
それだけでも、これは覚悟無くして読んではいけないと、襟を正されます。
中身の教えは、目次だけでは読み取りにくい、もっと愛に溢れた深い内容です。
本文はもとより、究極なのは、最後の「解題――復刊に寄す」という、執行草舟氏の文章。
氏は、実業家であり、著述家、歌人。生命の燃焼を軸とした生き方を実践・提唱している生命論研究者でもあります。
「古今東西の名作で、読んでいないものは無い」と言い切られ、「この本は、命の恩人」と。
さらに、「著者の関大徹老師は、禅の最高境地を生き切った本物の大人物である。禅僧というだけではない。人間として、最高の人間なのだ。私が知る最高の魂をすべて具現している。厳しく悲しい人である。温かく面白い人である。そして、何よりも可愛らしい人だ。」と綴られています。
長々と引用してしまいましたが、こんな解説文を読んだ記憶がないので、とても感動してしまったのです。
本当に、大徹老師と、この本と共に生きてこられたことが実感できます。
気高い禅の思想と、生きること死ぬことを心底考えさせられました。
私はこの本を、まだ1回しか読んでいませんので、ここにはこれ以上このご本について表現することはおこがましくてできません。ご容赦ください。
どうぞ皆様、お手に取ってご自分で体現していただければ幸いです。

執着心を超える

最後に、話は全く変わりますが、最近のトピックスとして、ひとつ付け加えさせていただきたいと思います。
明石家さんまさんがテレビのトーク番組で、「自分が死んだら、財産は自動的に国に寄贈されるようになっている。財産を残すといいことは無いから。」と淡々と言っておられ、傍に居たマツコ・デラックスさんも「私も子供がいないから、そうしてる」と語られていました。
財産、大金…に反応する私の執着心が、この発言に注目したのかもしれませんが、このような決意をされるまでのご本人はもとより、ご家族の生き方も凛として素晴らしいものだと思いました。
映画「グッモーエビアン!」の字幕を書き留めました。
『あなたが生まれたとき  あなたは泣いて
まわりはみんな笑っていたでしょう
だから あなたが死ぬときは まわりが泣いて
あなたが笑っているような
そういう人生を歩みなさい』

(2021年7月11日 若杉)

関連記事

アーカイブ

ページ上部へ戻る