人生で起こること、すべてに深い意味がある

大切にしたい価値観

私達には、それぞれ幾つかの価値観があります。
それは、いつどんな時に作られたものなのか?
明確に分かっているもの、何となくボンヤリと分かっているもの、持って生まれたもの、環境によって当然のように身に付いたもの、経験から生み出されたもの…、様々です。
私にはいつのころからか宿った、大切にしたいと思う人生観があります。
それは、
『人生で起こること、すべてに、深い意味があること。人生で出会う人、すべて、深い縁があること。』
という考え方です。
偶然、たまたまと思える事にも、実は根底に「大いなる何か」の意図が働いていると思うのです。
それは、究極的に言うと、自分自身が作っている人生のストーリーなのかもしれません。
「大いなる何か」とは、先日85歳で他界された筑波大学名誉教授の村上和雄先生の言葉を借りると、「サムシング・グレート」のこと。
村上先生は、長年遺伝子の研究をされた中で、目に見えない偉大な自然を、「サムシング・グレート」と名付けられました。
何となくではありますが、その意味されていることが私にも理解できる気がします。
嬉しいことや幸福なことだけでなく、どんな苦労も困難も、更には失敗も挫折までも、自分にとってプラスに思える事もマイナスに見えることもすべてに、「大いなる何か」が働いている。
しかも根底に働いている意図は、そのことで自分を育て成長させようとしている…というものです。
折しもテレビのドラマで、高校生のころ交通事故で右手右足を切断して自暴自棄に陥った主人公が、「人生で起こるすべてに深い意味がある。そのことで、これからの君に素晴らしい何かを成し遂げようとされている。」と励まされている場面に遭遇しました。
これもまた、必然の出会いかもしれません。
以前に、「幸運は、不運の姿をしてやってくる」という言葉を聞いたことを思い出しました。
自分の価値判断で、嫌なこと・受け入れがたいことが起こってくると即座に拒絶して、とても幸運だと認めることが難しいものです。
しかし、もしかして大切なことが示されているのかもしれません。
人生のどん底で絶望している時に、即座にそう思えるかどうか自信はありませんが、冷静に空を見上げて大局的に考えることができれば、大切な出来事だと受け止めて、前を向いてゆっくりと歩き出すことができるように思います。

いまを生き切る!

工学博士の田坂広志先生は、著書『運気を引き寄せるリーダー 七つの心得』の中で、38年前の大病で医者から見放され、余命幾ばくも無いと宣告を受けた恐怖と絶望のなかの、「地獄」のような体験での出来事を語っていらっしゃいます。
奈落の底をさまよっていた時に、魂に響く一人の禅僧の言葉で、大切なことに気づかされたと。
「そうか、もう命は長くないか。だがな、一つだけ言っておく。人間、死ぬまで、命はあるんだよ!」
「過去は、無い。未来も、無い。有るのは、永遠に続く、いまだけだ。いまを生きよ!いまを生き切れ!」
命がいま有るにもかかわらず、心が、もう死んでいたと深く気付いた筆者は、かけがえのない人生の時間を精一杯生きようと覚悟を定めた時、「病を超えた」といいます。
勿論、その後の実際の闘病生活は決して簡単ではなく、壮絶であったことでしょう。
振り返ってみて、この「生死の体験」があったからこそ、その「死生観」が本物になって、その後何千名の経営者やリーダーを育てる大きな役割を果たされているのだと思います。

スティーブ・ジョブズの伝説的スピーチ

もう一つ、大切な「死生観」に出会いました。
それは、アップル・コンピュータの創始者、スティーブ・ジョブズが、2005年にスタンフォード大学で行ったスピーチです。
「私は17歳の時、一つの言葉に出会った。『毎日を、人生最後の日のように生きなさい。いつか、それが真実になるのだから』」
「今日が人生最後の日と思い定めることによって、今日という日、いまという一瞬を大切に生きることができる。」
というのです。
世界を変革した偉大な人物と、怠惰で平凡な私を比べるわけでは毛頭ありませんが、それでも、何と私は人生の大切な日々を、時間を、流されて勿体ない過ごし方をしてきたことかと、愕然とする思いが湧いてきます。
ひとしきり落ち込むことを許容した後に、自分の器の中で、いま出来ることを実践していこうというエネルギーが出てくるのを感じて、少し嬉しくなりました。

謙虚な学びから始めよう

しばらく停滞していたエネルギーが、やっと動き出そうとしています。
さて、何から始めようかと考えていた時、「大いなる何か」が私に働きかけてくれました。
「誰かの何かの役に立ちたい」、「社会に貢献できることに従事したい」と、自分が充実してもいないのに、外側にばかり目を向けていた私に、自分の内面をまず充実させなさい…と、目を覚まさせてくださいました。
大切なのは、いくつになっても勉強する姿勢でした。
学びが深まってきたら、いつか誰かの何かのお役に立てるかもしれません。
励みをいただきながら、また前を向いて歩いていこうと思えています。

(2021年4月18日 若杉)

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