読書会的バランスのとり方

『ユング心理学入門』最終回

今日は対面の読書会でした。
いつも始まりはチェックインとして最近の出来事や気持ちなどを伺っています。
日常的な話からも、語る人の観点や生活ぶりが窺え、なかなか興味深いです。
今回は、しばらく前から読んできた山根久美子さん著『ユング心理学入門』の最終日でした。
みなさんにとってはあまり馴染みがなかったユング心理学が身近になったようです。
オンラインの読書会でもそうですが、みなさん、一冊の本を介していろいろな話をする場というのが貴重なようで、喜んで参加してくださっています。
日常では自分の考えや気づきを話す場が少ないのかもしれませんし、ひとりひとりの話を大事に受け取りあう場というのはさらに少ないのかもしれません。
長く続けてほしいという声にいつまで応えられるのかわかりませんが、大事にしたいと思っています。

さて今回特に興味深かったのは、本の最後の方にあったK-POPアイドルBTSのエピソードでした。
彼らが出したアルバム「MAP OF THE SOUL」のシリーズは、ユング心理学にインスパイアされています。
実際にアルバムを聴いたことはないのですが、今日の参加者でBTSファンの方から、彼らは人々から求められているアイドルというペルソナと、自分自身として成長したいという思いの葛藤を歌詞の中に滑り込ませていたとお聞きしました。
華やかな場所でスポットライトを浴びていても、内面との乖離が激しくなると、人は苦しむのでしょうね。
そんな彼らはユング心理学のどこに惹かれたのか、ちょっと気になります。
彼らのアルバムタイトルのもとになったユング派分析家のマレー・スタインの本は私の本棚にもあるので、今度読むときは、BTSを想いながら読んでみたいなぁと思いました。

さらに『ユング心理学入門』8章の終わりの方に、
「ユングは、効率性や合理性に突き進んでいく人類に対して警鐘を鳴らしていた。効率性や合理性を追求することは、人を一面的にし、身体とこころのバランスを損なっていく。だから、ユング心理学は、効率性や合理性に疑問を投げかける性質を持っている」
と書かれています。
今日の参加者のみなさんも一様にこの部分に共感していました。
昨今は特に効率性や合理性の追求が行き詰まっているようにも感じらます。
非効率性や非合理性を持つ身体やこころとのバランスをとっていくことは、これからますます大事になってくるのでしょう。

さて、次の本は?
おひとりの方が他の心理学のことも学びたいと言われ、みなさんの賛同で、今度は岸見一郎さんの『アドラー心理学入門』になりました。
誰かひとりに傾倒するより、他の人はどのような考えを提唱したのかという興味は、バランス感覚がある証拠ですね。
来月からも楽しみです。

(2025年4月27日 岩田)

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