平凡な人生にもある『深み』

中秋の名月」に祈りを捧げる

皆様もご覧になられたかと思いますが、一昨日9月29日は「中秋の名月」。
しかも今年は満月、旧暦の8月15日。
年によっては、十五夜の満月と「中秋の名月」の日が重ならないことがありますが、今年はほぼ真ん丸で煌々と輝いたお月様が観られました。
ちなみに「仲秋」とは、旧暦の8月を、また「中秋」は旧暦の8月15日を指すことが多く、「中秋の名月」は満月とは限らず、1~2日ズレることが多いとのこと。
まぁ何にせよ「お月見団子」をお供えしながら、しばし月に見とれて思わず安寧を祈りました。

セッションからの触発

長年セッションを担当させていただいているクライアントの方から、先月の面談時に、「これからの生き方の指針となる素敵な本に出会った」と話されたことをつい先日に思い出して、早速書店に出かけることに。
その本は、「74歳、ないのはお金だけ。あとは全部そろってる」という、牧師ミツコさんの本(スバル舎)でした。
(※著者は1946年生まれなので、現在は、77歳。)
「年金7万円の暮らしで、こんなに明るいひとり老後。」
この見出しだけでも、とても興味を惹かれ、まずはネットで検索をしてみました。
――牧師にして、子供4人・孫16人のビッグマザー、清貧かつ豊かな生活!――
○あるお金に感謝して。それで十分足りる暮らし
○手作りの食事と筋トレで健康維持
○週3回のシルバー人材の仕事が張り合いに
○71歳からプール通い。いくつになっても新しい挑戦
○植木の花が咲いただけで、空が晴れただけで幸せ
出版された時が同い年という親近感もあって、是非読んでみたいと思いました。
あいにくその日書店では在庫がなかったので、後日入手することにして、せっかく出向いたので今日私に必要な本に出会わせて欲しいと願いながら、何冊か手に取ってみたところ、やっぱりピンと来る本がありました。

大切なメッセージをくれる本

それは、「『深みのある』人がやっていること」齋藤孝著(朝日新書)。
――年を重ねてこそ得られる 最高のギフト それが「深み」だ――
著書の「はじめに」でも書かれているように、人は多少の個人差はあるにせよ、年齢を重ねるにつれて、若い頃のような体力を維持することは難しくなります。
また、体力だけではなく、人や物の名前を思い出せなくなったり、ITの急速な進歩について行けなくなったり…脳の衰えも感じるようになります。
人生の中盤以降、下り坂が多く目立つ中で、むしろ年齢を重ねないと辿り着けない広大な領域が「深み」だと書かれています。
だからこそ、「人生の年輪」が大切だという文章に、ただボンヤリと時間を過ごしていては勿体ないなという大きな励ましを感じました。
今まであまり取り上げられなかった、人間の「深み」についての深掘りを通して、「読者が自分の『深み』に気づき、そこに希望や生きがい、多幸感などあらゆるポジティブな要素を見出せるように」という、著者の優しい意図が見受けられます。
自分を振り返ってみて、人の発する言葉、行いなど、真っ向から否定したり闘いを挑むことはしないにしても、心の中で共感できずにモヤモヤとしたりザワツクことが幾度かありましたが、何と「浅瀬」で受け止めていたのかと痛く思い当たります。
例えば、対話の中で、「こうするほうが楽しいから」とか「これからはご機嫌に生きたい」という発言を聞いた時、感情や思考を揺さぶられない様にしてきましたが、それまでその人にどんな人生体験があったのか、どのような思いが秘められているのか…という「深み」の思いに至らなかったこと、人に寄り添い、包み込む愛の足りなさに、あまりにも至らない未熟な自分を恥ずかしく思いました。

人はそれぞれ価値観も好き嫌いも、得意不得意も…すべて違います。
この多様性の時代、共感性・柔軟性・受容性…と、年長者が「深み」を目指して、
詩人・金子みすずさんの詩のように、「みんな違って、みんないい」という心境に素直になれれば、本当にいいですね。
白内障になってから、本を読むことからかなり遠のいてしまいました。
手術が終わっても、なかなか以前のように習慣が戻りません。
楽して怠けると、切り替えがとても難しくなりますね。
自分の弱さをしっかりと自覚して、真夏の暑さに、努力を怠った運動やゴミ拾いも、言い訳を解いてそろそろ始めようと思います。
加齢を面白がって、今できることにまた挑戦して行きたいと思っています。
失われて行く「若さ」より、年輪を重ねて得られる「深み」を意識して!

(2023年10月1日 若杉)

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