ピン・ピン・コロリの理想的生き方
「白内障」手術のご報告
先月この欄で取り上げました「白内障の手術」。お陰様で、3月9日に無事、右眼の手術を終えて、次は23日に左眼の手術を受けることになっています。
「案ずるより産むが易し」の如く、終わってみれば、事前に心配していたほど難しいことではありませんでした。皆様、ご安心ください!
「まな板の上の鯉」の心境で、内心の不安や恐怖心と闘いながらも、お医者様や看護士さんの指示通りに素直に行動して、仰向けで20分くらい眼前に映る模様を眺めている内に、無事終了。
ホッと一息、やれやれという心境でした。
視界がクリアになって、これから桜を観るのがとても楽しみです。
まずは、ご心配やエールを頂いた皆様に感謝を込めて、ご報告申し上げます。
「介護や子育て」に願われる覚悟
最近つれづれに思うことについて、書いてみます。
どう頑張っても自分ではどう仕様も出来ないことがあった時、周りの人に手伝って助けてもらうことは誰しもあると思います。
その時はとても有難いことですが、暫く経って自分一人でもできるようになっても、ついあまりの心地良さに甘えて、それが当たり前になってしまうことがあります。
周りからもう大丈夫だと構われなくなると、今度は「誰も気遣ってくれない」とか「手伝ってくれてもいいのに…」などの思いに駆られて不満が出て、いつまでも依存から自立できなくなってしまうことがあるので、気を付けなければなりません。
そう思うと「介護や子育て」は、しっかりとしたビジョンや、見守る姿勢を持たないと、親切心からつい過剰な手出しをしてしまい、成長や自立を妨げてしまうという、いわゆる「お節介」「やり過ぎ」になってしまいます。
随分前のことですが、ご主人が脳梗塞で車椅子生活になられて、お一人では外出が出来なくなられたご主人への奥様の対応ぶりに、傍目ではもう少し手を貸されても…と思ってしまったことがありましたが、奥様からするとお一人でお家にいらっしゃった時に、ご自分で出来ることを減らさないように、深い愛情で接していらっしゃたのだなぁと、今なら理解ができます。
家族や身内への、本当の優しさや愛情は、自分で出来ることを増やすサポートかもしれないなと学ばせていただきました。
3人のお子さんがいらっしゃる、シングルファザーの方からお聞きした話です。
子どもさんが小学生になられた時に、「学校に行きたくないなら行かなくてもいい。」「学校という社会は、いろいろな人が居て、自分の思い通りにならないことが多い。その現実を学びに行く、大切ないわゆる『仕事場』だから、『働かざる者、食うべからず』の教えの如く、学校を休んだならその日の夕食は準備しない。しかし、家族の皆が使うトイレやふろ場の掃除をして自分以外の人の為に働いたら、ご飯とみそ汁、おつけものは食べられる。」というルールを話されたそうです。
今なら、育児放棄とかいじめとかと、非難されそうですが、炊事・洗濯・掃除・早朝からのお弁当作りなど、経済的な責任の他、一家を支える仕事をこなされる日々の父親の姿と言葉に、自立した成長を願う親の愛情だと子供たちが受け止めて、3人共、小学校は皆勤賞だったそうです。
私には、それだけの覚悟と信念を持った愛情は発揮できませんでした。
先を見据えた愛情は、周りからどう見られるかという思いを超えた、厳しい覚悟が求められます。
確かに、人生は全て自分の思い通りになるわけではありません。
理不尽なこと、面倒なこと、時にはすべて放り投げて逃げ出したくなることも起きてきます。
葛藤を感じた時が、生き方を変えるチャンス
でも、思い通りにならないで大きな葛藤が生みだされた時が、生き方を変える有難いチャンスなのだと思います。
私は、最初の大病で学びを生かせずに、3度も繰り返したにも関わらず、医療の発達のお陰で、リハビリや薬の処方で日常の不自由な症状を改善していただきました。
ですが、根本的な治癒にはならず、その後も再発を恐れ、不調に苦しみ投薬を続けて症状を抑え続けて来ました。
それが病気との付き合い方だと思ってきたのです。
そのことについては、今まで守っていただけて、感謝以外の何物でもありません。
一方で、80歳、90歳を超えても、生き生きと他人様の為に働き、貢献していらっしゃる方々を見ると、年齢に関わらず健康的な生き方には、個人差がとても大きいことを知らされます。
市民大学講座でご登壇していただいた、昇幹夫先生(1947年生まれ。「日本笑い学会」副会長。医師)から教えられた、「ピン・ピン・コロリ」という生き方のお話を懐かしく思い出しました。
これは、病気に苦しむことなく、元気に長生きし、最後は寝込まずに突然コロリと亡くなるという標語です。長寿国の日本で理想的な生き方だと言われています。
ちなみに、対義語は、寝たきりで長く生きることを「ネン・ネン・コロリ」(NNK)と呼ばれているそうです。
今、「健康」「利他」「奉仕」「恩返し」…ということをテーマにして、何ができるかは分かりませんが、自分が嬉しい生き方を目指したいと思っています。
現在の年齢に関わらず、人の健康寿命は誰にも分かりません。
高齢者は勿論のこと、まだ若くてピンと来ないと思われる年代の方こそ、元気なこの時に、人生の舵をしっかりと取る生き方を考えるきっかけにしていただければ幸いです。
(2023年3月19日 若杉)