どんな表情で人の話を聞いていますか?

自分の表情は自分には見えない

最近、人の表情に意識的に注意を向けることが多くなりました。
セミナーやコーチングセッションでは特に注意深く観察するようにしています。
オンラインセミナーだとパソコンの画面にお顔がずらりと並ぶため、表情がクローズアップされます。
頷いている方、笑顔で見てくださる方、ちょっと考え込んでいる様子の方など…。
表情を見ながら対応を工夫することになります。
目の前の人の表情はその人の気持ちをある程度反映してくれる鏡ですね。
コミュニケーションは言葉のやり取りだけではありません。
言葉とともに表情やしぐさ、声のトーンなど、言葉以外の五感情報が加わることで、相手の意図することへの理解が増すものです。
翻って、自分はどんな顔をして人と話しているんだろうか、と振り返ることがあります。
最近は割に楽しそうに人の話を聴いていることが多いのではないかと思っています。
客観的なフィードバックを誰かに求めたわけではないので、あくまでも自己採点ですが…。
何せ自分の表情は見えませんからね。
ただ、昔の私はちょっと気難しくて、相手が話しにくくなるような顔をしていたような気がするので、ずいぶんマシになったと思います。

講師になりたての頃は無理して笑顔を作っていた

以前にも書いたような気がしますが、講師として人前に立ち始めた頃、意識して笑顔を作っていました。
理由は目の前の人に好感をもって受け入れてもらいたいという願望があったからです。
今考えると、その笑顔は受講生にはもしかしたら不自然に映っていたのかもしれません。
私は常に「いい人」であろうとしていたようです。
当然ですが誰もが、「いい人」の部分もあり、「いい人でない」部分があります。
過去の自分は「いい人でない自分」を否定して、ひたすら「いい人」と認定されようとしていたんだなぁと、今ならよくわかります。
もっとも、どちらも自分の一部だと受け入られたのはそれほど前のことではありませんが…。
最近は「いい人であろう」とはあまり思わなくなってきたので、作って笑顔になることはなくなりました。

笑顔の効果

一方で、笑顔には自分の緊張をゆるめてくれる効果があります。
これについては19世紀~20世紀初頭に生きた心理学者ウィリアム・ジェームズの有名な言葉があります。
「楽しいから笑うのではない。笑うから楽しいのだ」
まさに真実を言い表していますね。
笑顔でいることでさまざまな効果がもたらされます。
緊張する場面でも、口角をあげて笑顔になると、気持ちに余裕が生まれ、落ち着きます。
慣れない講座で講師を務める時、初対面の人と会う時、自分の表情によって助けられたことも少なくありません。
もともとは人によく思われたい、自分を落ち着かせたいという2つの動機によって意識的につくられた笑顔ですが、それが習慣になり、自然に笑顔が出てくるようになりました。
無理にでも笑顔を作るようにすると、やがて身につくということですね。
不自然さがなくなったかもしれません。
今では笑顔が身についてきたのはよかったと思っています。

自分の表情を意識してみることも大事

ところで、初対面の人と話す時、相手が笑顔で対応してくれたら安心しますよね。
笑顔には自分の緊張だけでなく、相手の緊張を解きほぐす力があり、それによってお互いの関係が近くなります。
さて、相手が笑顔になっている時、自分はどんな表情なのでしょうか。
初対面だと緊張感が先立ってなかなか自分の表情を気にすることができないものです。
時には自分の表情がどうなっているかに意識を向け、顔の筋肉の動きから推察したりしてみることもいいですね。
相手の反応が悪い時は、意外に自分の表情が影響しているということもあります。
また、自分にとって苦手なことが話題に上った瞬間、無意識にそれを嫌うような表情になっていることもあります。
一瞬のことだと本人はほとんど気づけません。
でも目の前の人はその表情をキャッチするのです。
小さな違和感でも積み重なると信頼関係に大きな影響を与えます。
相槌や質問も大事ですが、言葉を発する時の表情に気をつけてみることは大事なのかなと改めて思っています。

(2020年12月20日 岩田)

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