「人生の生末を考える際の参考」

天寿を全うしたいという願い 

日本人の死亡原因の1位は、男女とも「ガン」。2位が「心疾患(心臓)」。3位「脳血管疾患」。4位「老衰」。5位「肺炎」だそうです。
誰もが、天寿を全うするまで自分らしく生き生きとありたいと願っています。
私も、家族や友人たちとコミュニケーションをとり続け、役割を果たして、願わくばにっこり笑って、この人生に「有難う!」と感謝しながら、人生の幕を引きたいと思います。

「加齢による物忘れ」か「認知症による物忘れ」か?

同年代の人達と話をすると、「最近物忘れが多くなって…」とか、「人の名前や言葉が出て来なくなった…」という嘆きをよく耳にします。
私も他人事ではありません。
元々、方向感覚は鈍くて、何度か行ったことがあるはずの場所でも、よく迷子になります。
そこで、脳トレにもなるかと思って、毎日寝る前に、以前は「数独」と呼ばれていましたが、今は「ナンプレ」という数字のパズルを、楽しみながら続けています。
が、ボケ防止には、どれだけの効果があるのか…疑問ではあります。
加齢による物忘れは、脳の生理的な老化が原因で起こり、その程度は一部の物忘れであって、ヒントがあれば思い出すことが出来るものだそうです。
これは、本人に自覚があり、日常生活にあまり支障はありません。

一方、認知症によるものは、脳の神経細胞の急激な破壊によって起こるもので、物事の全体がすっぽりと抜け落ちてヒントを与えても思い出すことが出来ません。
これは本人に自覚がなく、進行性で、日常生活に支障が出てきます。
友人が、最近特に物忘れがひどくて心配になったらしく、「認知症の検査」を受けたと聞きました。
かつては「痴呆症」と言われていた「認知症」。
いろいろな原因で、脳の細胞が死んでしまったり、動きが悪くなったりしたために、様々な障害が起こり、生活する上で支障が出ている状態のこと。
約60%が「アルツハイマー型認知症」が原因で、女性に多く、物忘れの他、物盗られ妄想や徘徊などが特徴的な症状と言われています。
周辺症状としては、幻覚・幻視、うつ状態、麻痺、暴力・暴言が起こったりします。

認知症との付き合い方

折しも、先日のテレビ番組、プロフェッショナル『仕事の流儀』――「日本が直面する待ったなしの課題『認知症』」――が放映されていました。
6年後には700万人にもなるという、センセーショナルな取り上げ方。
私は、自分自身の不安からというよりも、家族関係の崩壊からくる今後のカウンセリングの課題として、とても興味を惹かれました。
認知症のお年寄りに笑顔を取り戻してきた、認知症ケアのプロの「ドキュメンタリー番組」。
主役は、グループホームと呼ばれる介護施設の経営と、直接介護に携わりながら職員の方たちの教育もされている、40代~60代の3名のプロフェッショナル。
家族だけの介護が難しく入居された方、デイケアで通われている方も含めて、認知症を抱えながら穏やかに暮らせるように、24時間体制で支えられています。
そこには、珠玉の言葉があふれていて、思わず書き留めました。

  • 「その人らしさを奪わない」
  • 多くの能力が失われても、「心は生きている」。感じる心は生きている。
  • 暴れたり、大きな声をあげたりするのは、分からなくなったり、出来なくなったり、失うことが多くて、変化していく自分が受け入れられずに不安や恐怖に襲われる、心の苦しさのせいだと、周りが理解する。
  • 出来ないところを支えて、その方が力を精一杯発揮して、暮らしを続けられるように支援する。
  • 「あなたはとても大切な人」と言う思いで、何度でも同じ言葉を受け止める。
  • 各人の人生の物語をちゃんと理解して、その人の人生に付き合っていく。
  • 「人として、『普通に生きる姿』を支える」

80年代の介護では、徘徊は問題行動と考えられて、ベッドに縛り付けたり、部屋の鍵を掛けて外に出られないようにしていたと聞きます。
それにはやむを得ない事情もあったことでしょう。
この番組での施設では、徘徊にもスタッフが一緒にとことん付き合われています。
介護職は、お給料も安く、報われることの少ない3Kの仕事だとのイメージが横行している中で、まだまだこのドキュメンタリーに取り上げられたような施設や環境は数少ないかもしれません。
が、私は、ガンや病気以上に「認知症」への不安や恐れが大きかったのですが、このブログを書きながら、随分と意識が前向きになりました。
人と人が支え合い、共に人間らしく生きていけるように、市井で人知れず努力や挑戦を続けている人達がたくさんいる――とても勇気と希望をいただき、心が満たされました。
どうなるか分からない未来に漠然とした不安や恐怖を感じることよりも、いまを精一杯生きよう。
私にも何か出来ることがあれば、いま出来ることを、躊躇せずに実践したいと熱い思いがこみ上げてきました。
単純にすぐ影響されて、熱しやすく冷めやすいところがあるのですが、このようにブログに残すと、少しは歯止めになって頑張れそうです。

(2019年9月8日 若杉)

9月12日より「私を生きる心理学」セミナー が始まります。

28日からは「質疑応答トレーニングコース」もスタートです。

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