子育て散歩道(6)―子どもの勉強へのかかわり方
子どもに勉強をさせるには?
慶応義塾大学准教授で、教育経済学者の中室牧子(なかむろ まきこ)先生は、「子どもを勉強させるには金で釣れ」「東大合格体験談は意味なし!」「子どもに勉強しろ!はムダ」など、かなり衝撃的な主張をされています。
一見、過激な問題定義のようですが、お話を聞いてみると、なるほど現実的で、納得させられます。
「何故勉強することが大事なのか?」と子どもから尋ねられて、さて、どう答えようかと、咄嗟に返答に困ります。
子どもは「将来役に立つ」とか「いい会社に就職できる」…と、言われても「だから今、勉強を頑張ろう」とはなかなか思えません。
「金で釣れ」は、抵抗があるかもしれませんが、遠い将来ではなく、頑張れば、すぐに嬉しいことが待っていると、誰でもモチベーションがあがります。
小さいころには、ドリルを1ページ終わるとシールを貼るというご褒美をもらえました。
それだけでも達成感がありました。
年齢に応じて、家族で旅行に行くとか、欲しいものを買ってもらうとか、成績の結果だけでなく、努力目標を設定するのも、やる気を促すことでしょう。
私たちは、じっとしているとやる気はでませんが、何かをやり始めると、大脳辺縁系の「側坐核」が刺激されて、やる気がでてきます。
これを、心理学者のクレペリンは「作業興奮」と名付けました。
勉強する習慣ができてくると、達成感や自信も生まれてきて、ご褒美がなくても、勉強に取り組みやすくなります。
その子その子に合わせて、楽しく取り組めるようなサポートがあるといいですね。
中室先生は、小学校低学年の子どもを対象に15年間に渡って追跡されたデータを基に、「子どもの勉強へのかかわり方」を研究されました。
①勉強したかどうか確認している
②勉強をする子供の横についている
③勉強をする時間を決めて、守らせている
④勉強をするように言っている
という4つのタイプの家庭で調査をしたところ、この4つの類型の内、最も効果があったのは、③番でした。
④の「勉強しなさい!」は、一番効果がなかったそうです。
リビングで勉強する子は学力が高いというのは、リビングで勉強することが学力を高めるのではなくて、親が近くで見ていたりすることが、学力アップにつながっているのではないかと考えられます。
子どもの勉強時間を伸ばしたいと考えていらっしゃる方、参考になれば幸いです。
(2017年11月29日 若杉)