若杉章子の一文字ブログ8「空」
大型連休も終わり、街は平常の生活に戻りつつあります
四月は「桜」、五月は「つつじ、さつき」、そして六月は「紫陽花」…と、その季節に相応しい見頃の花々があります。
四季の特長のの中で、主役がそれぞれ代わって、舞台に彩を添えています。
五月は「空」を選びました。
五月の空は、「五月晴れ」、そして「五月雨」。
どちらもこの季節を印象づける空模様です。
「空」――そら、くう、から。
「そら」は、青空、夜空、星空、空色。
「から」は、何も持たないこと。実質的なものが伴わないこと。
上辺だけで役に立っていないこと。空元気、空回り、空手形。
「くう」は、仏教用語で、天と地の間。不変の実体や自我などはないということ。事実でない、無益な事またはその様。
空気、上空、空中、虚空、空論、真空、空調、空港、天空。
「そら」からは、果てしなく広がる宇宙を連想させられます。
悲しみや苦しみ、希望など、人生のあらゆる出来事や感情を、見上げた空が、すっぽりと覆いつくしてくれます。
空は一体、どんなエネルギーで満たされているのでしょうか。
般若心経の中に、「色即是空、空即是色」という言葉があります。
宇宙の全ての形ある物質は、永劫不変のものではなく、実体がなく空虚である――という意味ですが、あまりに深い内容で、そうかもしれない…と頭の隅では思いつつも、しっかりとは捉えきれません。
人は、目の前に起こる出来事に右往左往してしまって、自分の内側で起こっている感情の渦に、なかなか気が付きません。
得体の知れない不安感、恐れ、悲しみ、孤独感…、それらが、いつのまにか膨れ上がり、爆発するように外側にあたかも現実のように作り出される。
その外側の出来事の対応に追われる毎日。
まるで、迷路を自分で創っておきながら、グルグルと同じところを回っているような状態です。
またまた無力感や劣等感に襲われますが、別のところで、これが大事なんだという居直りの気持ちもあります。
上っ面で、今分かったような気になっても、真相はもっともっと深いところに潜んでいるのでしょう。
曇り空のもとで、焦らず、すぐに答えが出なくても、自分の頭で考え、心で感じて、じっくりと納得の行く人生を歩んでいきたいと思っています。
(2017年5月10日 若杉)