聴き方のレッスン(6)「場」を意識する
「場」の力とは?
気づいたら結構深い気持ちを話していた…そんなことはありませんか?
何気なく話を始めたのに、心の中にしまっていた苦しみが言葉になって出てきた。
こんなことを言ったら笑われるのではないかと内心怖れていたことも、自然に口から出てきた。
そういう経験があるという方が多いのではないでしょうか。
なぜか、そうなった…それを起こすのが「場」の力ではないかと思います。
NLPトレーナーの山崎啓支さんは、「場」を作ることが最も大事と言われます。
「場」とは何か?
「場」とは、言葉にならない何か、そこにいる人が無意識に感じているもの、そして知らず知らずのうちに影響を受けているもの…。
どうもそんな感じのもののようです。
説明しようとすると余計にわからなくなりますが…。
ずいぶんと前に、暖炉の炎をたよりに10人ほどで話をしたことがあります。
ほの暗く、暖かな部屋の中で、ひとりひとり順番に話していくというような時間でした。
特に何について話さなければならないという決まりはありませんでした。
が、話が進むにつれ、だんだんと深い気持ちを吐露するような流れになりました。
すでに老境にさしかかったある方は、人生の苦難と抱え続けている悲しみを涙ながらに話されました。
そしてそこにいた人たちは、その人の悲しみをそれぞれの形で受け取ったのです。
これも「場」の力によるものでしょう。
そうした「深い場」もあれば、「楽しい場」というのもあります。
私たちは気づかなくても、常に何らかの「場」に身をおいているのではないでしょうか。
「場」を作りだしているものは何か?
それは、そこにいる人と、環境の相互作用だと思っています。
(人が環境を作っているともいえますが、そう考えると複雑になってしまいますので、ここではシンプルにします)
一概に「良い場」「悪い場」というように分けることはできません。
仮に、対話の中で、そこで深い満足を得られた、何か大切なものを感じ取ることができた、そういう場を「良い場」とします。
話を聴く人として、そういう場を実現するには、どうしたらいいのでしょうか?
そして、そのためにはどんな環境であることが好ましいのでしょうか?
あるいは、環境はあまり影響がないといえるでしょうか?
問いはたくさん出てきます。
その問いに自分なりの答えを出すために「場」を意識してみることが大事だと思っています。
(2017年5月9日 岩田)