ヒーローズジャーニー
「ストレスにつながる『試練』をどう乗り越えるか?」
先日、上記のタイトルに、サブタイトル「ヒーローズジャーニー(英雄の旅)に学ぶ」というテーマで、講演をさせていただきました。
ヒーローズ・ジャーニーとは、数々の神話に共通する一連の流れで、神話学者ジョセフ・キャンベルが名付けたものです。
ヒーローズジャーニー
1)Calling (天命)
2)Commitment (旅の始まり)
3)Threshold (境界線)
4)Guardians (天使)メンター
5)Demon (悪魔) 困難、苦悩、絶望
6)Transformation (変容)
7)Complete the task (課題完了)
8)Return home (故郷へ帰る)
以前受講した心理学のセミナーで、私たちの人生の流れも、この「ヒーローズ・ジャーニー」をたどっていると学びました。
自分自身の人生を振り返って、当てはめて分析してみると、いろいろな発見がありました。
それ以来、とても関心のあるテーマでした。
冒険は「それまでの日常が変わっていくこと」
私は、34歳の時の妊娠中毒が要因となって、その後、脳梗塞、脳出血…と、3度の大病に見舞われました
大学卒業後、ボランティア活動をしながら受講した「市民大学講座」のお手伝いを頼まれ、文字通り手弁当で関わったことが今日の始まりです。
任意団体から、財団法人を設立し、苦労も多かったですが、華々しい経験もさせていただきました。
30数年の後に解散し、5年前に、現在の株式会社を興したこと…、数え上げれば、冒険の旅は、きりがありません。
普段は起こり得ないような偶然が重なるなど、ある日突然日常が破られ、私たちは冒険に招かれます。
冒険は三部作。
以下の三つのブロックから成り立っています。
(1)旅立ち (2)試練 (3)帰還
冒険に招かれたとしても当初は、旅立ちたいけれど旅立ちたくない、変わりたいけれど変わりたくない…という戸惑い、葛藤があります。
それを何とか乗り越えていくと、冒険に必要な、知恵や技能、勇気を持った仲間が集まってきます。
幼い「桃太郎」に、犬・サル・キジが集まり、オズの魔法使いに会いに行く「ドロシー」に、かかし、ライオン、ブリキの木こりが集まったように…。
私も、大変な試練だと思った時々に、たくさんの人達に支えられ、助けていただいたことを覚えています。
次々とやってくる「試練」の本当の意味や意義に気づかないと、何度も同じことが繰り返されます。
グルグルと同じ場所を回り続けて、次の段階に進めません。
「試練」を、障害、邪魔、壁、乗り越えられない、不幸…ととらえると、大きなストレスに繋がります。
一方で、それを俯瞰して、人生の成長のプロセス、経験…だと思えると、どう乗り越えようかというヒントや勇気が湧いてきます。
いままさに平昌オリンピックの真っ最中。
日本中が待ちに待った金メダル第一号は、フィギュアスケートの連覇を果たした羽生結弦選手でした。
ご承知のように、昨年11月の怪我以来、リハビリ生活で、明らかに練習不足で、復帰後の初の実戦大会…。
誰しも期待と同時に不安も抱えて見守っていたことでしょう。
「今回は、金メダルをとらなければいけない使命があった」と語り、プレッシャーも身体の痛みもありながら、4年間積んできた経験を自信に変えて、強い意思で乗り越えた姿は、世界中に感動の渦をもたらしました。
また、優勝候補と言われていた、アメリカのネーサン・チェン(18)選手は、プレッシャーからSPで17位の発進でしたが、フリーでは最高得点、圧巻の演技で、総合5位になりました。
誰しも思い出すのは、浅田真央選手がソチオリンピックで、SPでは低迷したけれど、フリーで世界を魅了する最高の演技をして、6位入賞を果たしたこと。
彼らは、まさしく「ヒーロー」です。
それぞれの「ヒーローズ・ジャーニー」をたどっていたのです。
「悪魔」「試練」―思いがけずに襲ってきたトラブル、怪我、プレッシャー…は、外側からくるのではなく、その環境や出来事を受け取る自分自身の心の中で起こってきます。
弱さ、自信のなさ、恐怖、不安、逃げ出したい思い…誰しも襲われる、これらの感情・感覚を、どう乗り越えるかが、問われてくるのだと思います。
私もまた、目の前の課題を克服しつつ、さらに一回りも二回りも大きくなって、誰かのお役に立つ生き方ができれば…と思いながら、これからもこのテーマを追い続けていきたいと思っています。
※7月1日(日)に、このテーマで、3時間セミナーを予定することになりました。
(2018年2月19日 若杉)