木を見る西洋人 森を見る東洋人
そもそもの世界観がここまで違っていたとは…
今興味深く読んでいる本があります。
リチャード・E・ニスベットと言う人の『木を見る西洋人 森を見る東洋人』です。
言語のタイトルは”The Geography of Thought—How Asians and Westerners Think Differently…and Why”(思考の地理学――アジア人と西洋人の考え方はどれほど違うのか?そしてその理由は?)
本のカバーには、「『世界についての考え方は根本的にひとつである』とする認知科学の大前提に挑戦した知的興奮の書」という謳い文句が書かれています。
西洋と東洋の世界観の違いについての研究の発端が、冒頭に書かれています。
ある時ニスベット教授は中国からきた学生に下のような指摘を受けたそうです。
「いいですか、先生。先生と私の違いは、私はこの世界を円だと思っていて、先生は直線だと思っていることです」
「中国人というのは、ものごとはたえず変化しながら、結局はもとのところに戻ってくると考えます。さまざまな出来事に広く気を配り、物と物との関係を探ろうとします。全体を見ずに一部だけを理解することはありえないとも思っています。それに比べて、西洋人が生きているのはもっと単純でわかりやすい世界です。中国人とは違って、彼らは全体の状況ではなく、目立つ物や人に注目します。対象の動きを支配する規則さえわかれば、出来事を自分の思いどおりにできると思っているのです」
この言葉に「なるほどねぇ!」と思わず膝を打ちました。
日本は明治維新以降、西洋から政治や軍隊のシステムや技術を大急ぎで取り入れ、経済発展を果たしました。
そんな中、私だけの感覚かもしれませんが、世界のとらえ方もすべて西洋のものが素晴らしく、東洋的なものはどこか遅れたものと見なしているように感じてきました。
だからといってそれがダメだったわけではなく、西洋への劣等感のようなものが日本人を発展に駆り立てたことも間違いありません。
本の中では、さまざまな研究結果から、中国人だけでなく韓国、日本など東アジアの人と、北米やイギリス、北欧などの人とは世界のとらえ方に大きな違いがあることが示されています。
ついでにイタリア・フランス、ドイツなどはその中間にいることが多いらしく、西洋人としてひとくくりにできないようです。
「世界は思っているよりも広く、ものの見方・考え方にも違いがある」
そのことを理解しておくだけで、自分自身が何をどうとらえているのかを認知し、さらに何を選択するのかを考えやすくなるのではないかと思いました。
2004年の発売で、私も出合ったのがつい最近のことですが、一読をおススメしたい本です。
(2024年9月1日 岩田)