「今日が 残りの人生 最初の日」

グループセッションで知ったリーダーシップ理論

私は、ナンプレ(数独)や脳トレを日課にして一人で楽しんでいますが、読書会や対話会などのグループでのコミュニケ―ションを通した学びは、いつも格別な刺激になっています。
先日開催された、あるグループのセッションでは、「シェアド・リーダーシップ」を職場に導入の提案をするためのプレゼンがなされ、その後ディスカッションが展開されました。
それは、2016年に刊行された石川淳氏の、『シェアド・リーダーシップ』という本の内容が参考にされていましたが、参加者の誰もが初めて聞く理論でした。
本の帯封には――チーム全員の影響力が職場を強くする――と書かれています。
確かに、企業を取り巻く環境が大きく変化している現在、企業が継続的に発展していくには、「一人のリーダーが権限を持って統率する」には、限界があることは理解できます。
が、私は大企業に勤めた経験もなく、そのリーダーシップ論も詳しくは知りませんでした。
珍しく、ここで出合ったのも何かのご縁…と、興味を持って最近のリーダーシップについて学んでみることにしました。

注目されているリーダーシップ論

まずは、近年注目されている、3種類のリーダーシップ理論について。

1.「オーセンティック・リーダーシップ」

高い倫理観や道徳観を持つと同時に、リーダー自身が大切にしている価値観や考え方に根差して、組織をリードするリーダーシップ。
「リーダーがメンバーひとり一人と本音で向き合うことで、信頼関係を築き、メンバーそれぞれの個性や強みを把握し、どう生きるかを考えて行動する。――メンバーの多様な強みを生かせる組織づくりに有効」とされています。
⇒この理論を実践するには、リーダー自身の人格、人生観、世界観…の高いレベルが必須条件となりそうで、小規模組織では実現可能かもしれませんが、基盤を固めてから実践に臨まないと、リーダーには重責となり、かなり高いハードルになりそうだと思いました。
うまく機能すると、信頼に根ざした、強固な組織が作られるでしょう。

2.「サーバント・リーダーシップ」

チーム内の一人がリーダーとして、チームを牽引するスタイルを表す言葉。
「支援型リーダーシップ」とも呼ばれています。
「サーバント=(召使い)」の言葉通り、リーダーがメンバーに奉仕し、その後相手を導くものという考えに基づいたリーダーシップ理論。
すなわち、リーダーが部下の話を傾聴し、コーチングやメンタリングによって、部下を目標達成に導くというもの。
提唱者は、アメリカのロバート・K・グリーンリーフ氏。
⇒この理論も、(1)と同じくリーダーにかなりの重責が掛かりすぎるのでは…と、心配になりました。
確かに、今までのようなトップダウン方式ではメンバーの士気も上がらず、考える力も創意工夫も低下してしまいます。
私が習ったリーダー理論でも、メンバーを下から引き上げて全体を押し上げることの大切さが語られていました。
効果を上げるには、支援者・フォロワーの存在が大切だと思います。

3.「シェアド・リーダーシップ」

今回のセッションのテーマに挙げられていたリーダーシップ論です。
シェアドとは、共有されている、分散されているという意味があります。
リーダーの役割を、組織内のメンバー全員がシェア(共有)している状態で、状況に応じてリーダーシップを発揮するメンバーと、それに従い主体的に動いているメンバーが入れ替わるのが特徴。
ただし、最終の意思決定や責任をとる公式な役職としてのリーダーは必要とされています。
メンバー各人が、置かれた環境に沿ってリソースや能力を発揮して、チーム全体に影響力を及ぼしながら、協力し補いあって成果を上げていくというものです。
石川氏は、「アイデアを出すことも、さりげない気遣いも、全体を支えるフォロワーシップも、すべて、リーダーシップ」だと書かれています。
⇒組織内のメンバー全員が、全体意識を把握して、メンバーや組織に貢献していけば、チームの効力感も上がって、チームワークも良くなり、自己効力感も増すのでは…と、期待感が持てました。
一方、働く目的や適性など、多様性が益々広がる中で、大勢の個々のニーズに応えるには、なかなか大変な作業だと、手放しで賞賛もしきれない思いが出てきました。
どんな素晴らしい理論であっても、すべてに適応されるわけではなく、時代や環境の変化に伴って、いつでも少しでも効果のある「万能薬」を目指して努力し続けることが、我々人類に願われているのだなぁと、しみじみ思わされました。

つい講義調になってしまいましたが、セッションのテーマに喚起されて、今はもう職場組織には直接関わっていなくても、グループや家族、更に3か月ですべて細胞が入れ替わり別人になる私達の身体の組織…、これらに密かにリーダーシップ理論を活用できれば面白いなと、新たな楽しみを発見することが出来ました。

ふと訪れた図書館で見つけた、元格闘家の須藤元気氏の著書『今日が 残りの人生 最初の日』に、思いがけずエネルギーをたくさんもらうことができて、過去や未来ではなく、「今、今日に意識を向けて」、過ごして行きたいと、熱い思いが湧いてきました。

(2023年11月26日 若杉)

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