波を読む

自然のサイクルはシンプル

11月とは思えない暖かさが続いていますね。
春夏秋冬がはっきりしていた日本の四季も境目が曖昧になっているため、いずれ夏冬しか存在しなくなるという危惧もささやかれています。
これまで地球では100万年間、寒冷な氷期と温暖な間氷期が数万年単位で繰り返されてきたのだそうです。
現在は間氷期。
間氷期がどのぐらい続くのかは時代によって異なるようですが、東大のサイトには、約1万年前に始まった今の間氷期は3~5万年続くとされていると書かれていました。
なるほど地球は気の遠くなるようなサイクルを繰り返してきたのです。
温暖化の原因が人間の営みにあるとすれば、そのサイクルにも影響を及ぼしているのかもしれません。
が、より大きな視点では氷期と間氷期の繰り返しは止むことはないと見られているということでしょうか。
過剰になったら揺り戻しが起こる、自然の摂理はこのシンプルな原理に貫かれています。

人間にも働く自然の原理

小宇宙ともいわれる人間にもまたその原理が働いていることを実感します。
「諸行無常」とは、世のすべてのものは移り変わり、永遠に変わらないものはないということですが、人生も常に順風満帆とはいきませんね。
うまくいっていたかと思えば、一転して何をやってもうまくいかない時期を迎えることもあります。
後者の時期は精神的にもツラいものですが、多くの人の体験を調べると、そこをどう過ごすかによって以降の人生が大きく分かれているように感じます。
私たちの思考は何を前提とするかによって、結論が左右されます。
恵まれた時期と不遇な時期がくり返されることを前提としていたなら、前者で有頂天になることもないし、後者で落ち込みすぎることもないでしょう。

人生にも「波待ち」を

とはいえ、不遇な時期をどう過ごすかという智恵は必要です。
最近、サーフィンに「波待ち」という基本動作があることを知りました。
私はマリンスポーツどころかスポーツ全体に縁遠いので当然経験もありませんが、落ち込んだ時期をどう過ごすかにつながることだと思いました。
「波待ち」とは、体力を温存しながらサーフボードの上にまたがって海や波の状況を見極めることだそうです。
常に腹ばいの状態でサーフボードの上に乗るのは体力の消耗が激しく、視点も低くなるため海や波の状況を観察することができない。
「波待ち」によって、すばやく方向転換でき、サーフィンに適した波をキャッチすることができるのだそうです。
良い波に乗ろうとするなら、波のない時期には消耗を防ぎ、まわりの状況をよく観察することが大事。
人生にも通じることですね。
日常にも好不調の波があります。
不調な時、「こんなことではいけない」とか「もっと頑張らなくては」などと自分を鼓舞しがちですが、焦りはエネルギーを消耗します。
深呼吸して「波待ち」を気取ってみることも大事だなぁと、最近の自分に言いきかせています。

(2023年11月5日 岩田)

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