社会へのご恩返し
トキメキのある生き方
師走を迎え、一年の総括に、何かと慌ただしい時期となりました。
年を重ねる毎に、「一年が、アッと言う間に過ぎて行く」「時の経つのが早い」という印象が一層濃くなりますね。
そんな感慨に耽っていたら、丁度、録画していた『チコちゃんに叱られる』という番組で、「大人になると、一年の過ぎるのが早く感じられるのは何故?」というテーマが出て来ました。
答えは、「トキメキが少なくなってきたから」というものでした。
確かに子どもの頃は、些細な日常の出来事の一つ一つに興味や関心があって、過ぎた時間も長く感じる事が多いようです。
が、大人になると、経験値が多くなる分、毎日同じ作業で印象に残りにくい。
いわゆる「トキメキが少ない」ので、過ぎた時間が短く感じるとのこと。
「自分の感じる時間」と「実際の時間」が同じなのは、19歳くらいだそうで、この分岐点を過ぎると、『大人の階段』をどんどん加速して、転がり落ちるようにアッと言う間に時が過ぎるように感じてしまいます。
これからは、童心に帰って、孫と一緒に過ごす時間で刺激をもらいながら、人生にトキメキを忘れないようにしたいなと思いました。
働くことへの価値観の変化
話は変わって、最近気になることについて。
アメリカでは、退職者が過去最高値を更新して、2021年の退職者数は、約4800万人。
これは、日本も含めて世界中で増加しています。
2020年の国際労働機関(ILO)の調査によりますと、世界の若者人口の四分の一に当たる、約2億8000万人が働いていないと言います。
『大退職者時代』と呼ばれ、「世界中で起きている異変」として課題視されています。
私も、新入社員の研修に携わらせていただいていますが、教育・研修と同時に、早期退職を防ぐ願いも込められていることを実感します。
一般的に、最初に就職してから3年以内に退職する人は、約3割に上るようです。
「仕事内容が自分に合わない」
「労働時間、休日、休業の条件が良くなかった」
「賃金、将来性、人間関係」
など…、退職理由は様々です。
この原因には、価値観が本質的に大きく変化したことが挙げられます。
「高度経済成長期」いわゆる「バブル時代」は、「働く=報酬」の図式が成り立ち、
『24時間働けますか?』というコマーシャルもあった時代で、「お金が無い=不幸せ」の固定観念が強くありました。
低成長期の今、ニュースで流される、「65歳以上の高齢者は、貯蓄額が2000万円以上無いと生きていけない」という情報に、私も驚愕した一人ですが、先行きに不安を募らせる人も多くいます。
現代は、若者たちの働くことへの価値観、仕事へのスタンスが大きく変化して来ました。
早稲田大学教育学専門の山口揚平先生によりますと、一般的にはお金は労働の対価として得られ、消費して無くなると考えられていますが、お金は、「貨幣・信用・価値・時間・健康」の5つの要素で構成されているとのこと。
お金の原点は「信用」で、「信用は価値貢献の貯まったもの」を指します。
その根底に有るものは「時間」で、「時間」を生むのは「健康」ということになります。
健康とはすなわち、エネルギーのこと。
健康⇒時間⇒価値⇒信用⇒貨幣につながる方向性での、お金の五層構造があります。
結局は、この5つのバランスが大事で、どこかに偏っているのは良くありません。
折しも、コロナ禍で、今までの価値観を、立ち止まって考えざるを得なくなりました。
「若い時の苦労は買ってでもしろ」⇒今は、「我慢するだけ損」に変わっています。
若者たちは、「子育て」「趣味」などに人生の目標を置いて、「地域への貢献活動」などを重要に考え、バランスを求めて退職していくと考えられます。
あまりお金に換算しなくてもいいと思える時期があるし、新しいものを生み出すために、開化を目指す蓄えの時期もあるので、働かない若者に対して、単純に働け、働けと言うのは…。若者が会社を辞める理由を、しっかり理解することが重要です。
やっぱり、どう生きたいのか、どんな人生を送りたいのか――を、しっかりと自分で考えることが、とても大切だと思いました。
私の年代になると、若者を理解し、見守り、サポートする役割が出て来ます。
いつの時代も、世代での使命・役割があるので、私はこの景色が見られて、この心境になれて、本当に幸せだと思っています。
日本が一早く高齢化社会になって、世界のモデルとして役割を果たして行くことは、とても意義があると思えました。
個人的には、健康寿命を延ばす努力をして、役割を果たすことで、社会にご恩返しをして行きたいと願っています。
(2022年12月11日 若杉)