人生が自分に与えてくれるものはすべて贈り物

フレームを変えること

4月の緊急事態宣言発令から大学の授業もオンラインで行っています。
対面の方が嬉しいのですが、オンラインもそれはそれで慣れるものですね。
さて、先日の授業で扱ったのはリフレーミング。
ものごとのとらえ方(フレーム)を変えるというものです。
出来事そのものには固有の意味があるわけではなく、個別にそれをどうとらえるかによって意味が変わります。
ある出来事を否定的にとらえると、否定的な感情が動き、身体感覚や行動に影響を与えます。
同じ出来事を肯定的にとらえる人もいるはずで、その人と比べると影響も違うことがわかります。
100人のうち99人までが困難で嫌な出来事と受け取るようなことも、1人ぐらいはそれを肯定的にとらえる人もでてきます。
ものの見方は無意識に慣れ親しんだ価値観のフィルターを通しているので、自分のとらえ方のクセに気づかないと、なかなか変えられませんが、ちょっとしたきっかけによってそれが可能になることがあります。
誰かの考え方、とらえ方を知ることもそのきっかけです。

ミルトン・エリクソンの言葉

今回のブログのタイトル「人生が自分に与えてくれるものはすべて贈り物」というのは、天才心理療法家として有名なミルトン・エリクソンの言葉です。
彼の人生にはポリオの罹患など多くの困難があったといわれます。
が、それらをすべて自分の人生に与えられたギフトととらえ、置かれた状況の中で人間を観察し、理解を深めていった結果、創造性に富み独特で効果性の高い治療を実現していったという人です。
「すべては贈り物」というような言葉自体は決して目新しいものでありません。
他の人も同じような言葉を残しているはずです。
このエリクソンの言葉を伝えていたのは、生前の彼自身に会ったことがあるという方でした。
そして私はそれを聞いて、思いがけず心が揺さぶられるような感覚になりました。
エリクソンが人生を通して得た実感そのものがこの言葉にこもっていることが伝わってきたのです。

言葉の重み

「人生が与えてくれるものはすべて贈り物」。
これもリフレーミングです。
エリクソンの人生は「人生が与えてくれるものは苦難が多い」と言ってもいいほどだったはずなのに、それを「贈り物」という言葉にした…。
言葉が変わると印象が変わります。
贈り物だととらえると自然と感謝の気持ちが湧いてくるでしょう。
リフレーミングとは言葉の置き換えで印象を変えるというもの。
言葉遊びのようであったとしてもそれなりの効果はあります。
が、そこに深い意味が込められているなら、誰かの人生すら変える力を持ちます。
心が揺さぶられるという体験はさまざまな条件が重なって起こることが多いはず。
今回自分がなぜそのように感じたのかを改めて味わってみたいと思っています。
みなさまが誰かの言葉によってフレームが変わったという体験はどんなものですか?

(2021年5月30日 岩田)

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