歴史に学ぶ

変わるものと変わらないもの

今年もあと1か月足らず。
現在進行形ですが、新型コロナとともに大きく社会が動いた年になりました。
私たちの無意識が最も望むものは安全・安心。
ずっと変わらないものは、すでに知っているという安心感があります。
だから、私たちは変わらないことを望む傾向があります。
さりとて、時間は流れていきます。
ずっと同じように過ごしたいと思っても、なかなかそうはさせてもらえません。
最近、阿刀田高さんの『ローマとギリシャの英雄たち』という本を読んでいます。
プルタークの『英雄伝(対比列伝)』を下敷きに、リーダーたちの素顔がわかりやすく書かれていて、興味深いです。
2000年以上も前でも、権力を争ったり、理想を掲げて行動したりと、人の行いはそれほど変わりません。
激動の痕跡の中に今とあまり変わらない人間の内面を見ると、環境は変わっても人間そのものは大きくは変わっていないようですね。
多くの人があっけなく命を落としていき、今よりも命の扱いは軽かったように感じますが、それでも身近な人を失った悲しみというのは共通していたのではないかと想像します。

短期的な視点と長期的な視点

上記の本の中で私が特に興味をひかれた偉人はアレクサンダー大王(BC356~322年)です。(この流れで同じ著者の『獅子王アレクサンドロス』も読んでいます)
わずか32年という短い生涯の中でインドまで遠征し、東西交流の道を拓いた英雄。
知らない人はほとんどいませんね。
人格も高潔で、かつ見目麗しかったとか。(見てみたかった…)
当時の世界地図を見ると、広大な領土がその支配下にあったことがわかります。
一体何が彼を動かしたのか、頭の中に何を描いていたのか、想像もできませんが、多分見ているところが他の人と決定的に違ったのでしょう。
馬しかない時代に、あれだけの距離を移動するなんて私の理解をはるかに超える行動力です。
が、彼の思考ではそれが当然だったのでしょうね。
歴史は自分にない別の視点を与えてくれます。
最近の日常の中で近視眼的になりがちな自分だと気づきました。
世界全体で現在の不安定な状態への気がかりや未来への不安なムードが漂う中、どうしてもそこに焦点を当てがちになりますが、こういう時こそ歴史から学べることはたくさんあるのかなぁと思いました。

(2020年12月6日 岩田)

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