善人と悪人は薄皮1枚

「スイッチインタビュー」でハッとした言葉

昨日(3月3日)のNHK・Eテレの「スイッチインタビュー」は、大学学長の出口治明氏と女優のミムラさんの対談でした。
本が大好きなお二人の対面は都立中央図書館からスタート。
(出口さんがアドバイザーをされているとかで、設備が整っていて、素晴らしい図書館!)
出口氏の著書は何冊か読んだことがありますが、ミムラさんの読書家ぶりは知りませんでした。
もともと笑顔がステキな人だなぁと注目してましたが、本をこよなく愛する素顔が表情豊かに伝わり、さらに魅力的でした。

お二人の対談の中で特に印象に残った言葉がありました。
それは後半、女優としてのミムラさんが様々な人物を演じるに当たって心がけていることを語った時のものです。
正確な言葉は覚えていませんが、「良い人を演じる時、良い部分と同じかそれ以上にその人の悪い部分を意識して演じなければ深みのある人物像にならない」というような内容でした。
テロップの「良く見せたい 悪さを同時に考えないと足りなくなる」を読むだけでは「?」が頭に浮かんでしましたが、よく話を聴いていくと、思わず「深い!」と唸ってしまいました。

人には表に見えている部分と同じぐらい、見えていない部分があり、両方がその人をつくっている。
だから、見えていない部分も掘り下げて演じないといけないということだと解釈しました。
人間を多面的に観察し、理解しようとしていることが伝わる一言です。

見せたい部分と見せなくない部分、どちらもがひとりの人間をつくっている

私たちには、意識して人に見せたい部分と見せたくない部分があります。
人から受け入れられる「良い人」であろうとすればするほど、悪い部分はひた隠しにしたくなります。
隠した結果得た「良い人」という評価なので、その人をまるごと演じようとするとき、確かに隠した部分までも包み込まなくてはなりません。

では、実際私たちは自分の中の見られたくない部分に対してどんな扱いをしているんでしょうか?
見られたくない部分とは、ダメだと思っている部分、意地悪な思いや嫉妬など、いろいろです。
多くの場合、そうした部分があることを否定してみたり、無視したりしがちなのではないでしょうか?

が、ダメだと思う部分があるからこそ努力できることがあります。
私たちは常に良い悪いという価値観をもちだして、自分を判断してしまいがちですが、良いと悪いはそれこそ表裏一体。
まずは今の自分を客観的に眺めて、善悪どちらもあることを受け入れることが大事だなぁと再確認した時間でした。

因みに同番組は3月10日(土)午前0時から再放送される予定です。

(2018年3月4日 岩田)

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