「子育て散歩道」(3)孫の読書感想文

夏休みもカウントダウン

小学生のお子様をお持ちのお母さまがたにとっては、宿題の追い込みの時期。
「もう宿題は全部終わったの?」
「早くしないと、夏休みが終わってしまうわよ」
「提出できないで困るのは、あなただからね」
…などなど、親の焦る声が聞こえてきそうです。

私の孫は、小学1年生。
選択課題を、できるだけチャレンジしたいと意欲的でした。
そこで、サポート役として、工作はパパ、自由研究はママ、お習字は師範のもう一人のばあばがつくことになりました。

私のサポート担当は、読書感想文。
全国の小学1・2年生の課題図書が数冊挙げられている中で、『ばあばは、だいじょうぶ』という本を、孫は迷いなく選びました。
その理由は、作者が楠章子さんという方だったから。
私も同じ章子ということで、ばあばと章子さんの二つの共通点から、決めたようです。

その本を手にした私は、認知症(わすれてしまうびょうき)になられたばあばを取り巻く家族の関わりに、深い共感を覚え、何度読んでも、心揺さぶられ、涙があふれてきました。
状況は深刻で、かなりハードなテーマが描かれています。

「小学1年生の孫は、どんな感想を持つんだろう?」
私は、コーチングと傾聴を活かして、いくつかの質問を用意しました。

第一段階として、まず、どうしてこの本を読んでみようと選んだのか?
次に、この本を読む前は、どんな内容が書かれていると思ったのか?
読んでみて、どんな風に感じたのか?

孫は、ばあばを中心とした温かい家族関係が書かれた本だと思っていたようで、最初に読んだ後は、
「こんな怖い本、嫌だ、捨ててしまえ。読まなきゃよかった」とかなりのショック。

何が怖かったの―と聞くと、
「自分もいつか、忘れてしまう病気になるのかと思うと怖い」
「じいじやばあばが忘れる病気になるのも怖い」

その後、身近に忘れる病気になられた方や、帰る家が分からなくなって道に迷っていたおじいさんにご自分の家を尋ねられ、家族で探しておじいさんのお家に送り届けたことなどの経験エピソードを思い出したりするうちに、怖さが少しずつ薄れていったようです。

だんだん、本に描かれている家族の優しさや思いやりに目が向き、「自分ならどうするかな、何ができるかな…」と深まってきました。

一冊の本を、一緒に読んで、いくつかのテーマで話し合うことの素晴らしさを実感しました。

まだまだ小さな子どもだと思っていた孫でしたが、真剣に向き合ってみて、新鮮な一面を見出しました。
いつまでも子ども扱いをしていてはいけないなと実感しました。

宿題は子どものためだけではない?

小学生の子どもを持つ、あるお母さんが、担任の先生に聞いたそうです。
「どうして、子どもだけでは無理な宿題ばかり出すのですか?」
先生の答え。
「日頃は、会話も、何か一緒にすることもなかなか少ないので、せめて、夏休みには、じっくりと一緒に関わっていただけるように」
質問をしたお母さんは、「なるほど」と深く納得されたとか。

孫が帰りに、「読書感想文、苦手だったけど、好きになった。楽しい」と一言。
何だか、ほっとしました。

帰ってから、夜11時まで掛かって、眠気と闘いながら自分の言葉で清書していたと、後で娘から聞きました。

「子育ては、自分育て」
孫と関わりながら、今更のように、この言葉が重く感じられます。

(2017年8月22日 若杉)

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