人生100年時代の生き方

キーワードはコンヴィヴィアルな生き方?

人生100年時代という言葉をよく聞きます。
実際に百歳を越えてもなお元気な方はたくさんいて、質はともかく年齢の比較では日本は世界のトップランナーなのだということを実感します。
私は4月から「リカレント教育」の受講者として、大学に通い始めていますが、そこで高齢者の方がリカレント講座受講後に本格的に大学院で学ぶということも少なくないことを知りました。
今や若い学生とともに妙齢の大人が同じ教室で学ぶことが珍しくなくなっているんですね。
私自身が教えている授業ではそのような受け入れはないようなので、経験はしていませんが、これはとても良いことなのではないかと思いました。
学生にとっても、同じ年代の人たちばかりだった環境に祖父母や両親の世代の人が加わることで緊張感が生まれそうですし、後者にとっては若い世代と共に学ぶことで刺激を受ける機会になるでしょう。
岡本裕一朗さんの『「老い」の正解』という本の中に、オーストリア生まれの哲学者イリイチ(1926-2002)が「脱学校」を提唱したと書かれていました。
イリイチによれば、「学校というのは産業社会がはじめて実現した「子供時代」の大量生産のシステムで、近代以前には存在しなかった。近代社会が終わることは、そうした学びのスタイルが変わっていくことを意味する」のだそうで、教育は望む人が年齢にかかわらず利用できるようになるべきだと主張していることを知りました。
今のリカレントの流れがそれですね。
さらにイリイチが唱えたのが「コンヴィヴィアリティ」でした。
ラテン語のcon(ともに)とvivere(生活する)を組み合わせた言葉で、「ともに(楽しく)生きる」と訳せるようです。
「個々人がそれぞれ自由に活動しながら、人間同士が相互に依存しあって、創造的に楽しく生きる『未来社会』」が想定され、共生する人々が多様であることが前提とされています。
教育の場がコンヴィヴィアルになれば、社会にも波及することが期待されます。
私の友人にそんな生活ができる場を提供することを夢に描いている人がいますが、その理想と本の内容が符合したことに嬉しさを覚えました。

(2024年6月9日 岩田)

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