『習慣化のシンプルなコツ』

思考・感情・身体は「わたし(意識)」ではない

今日のブログのタイトルは、先月末に出版された山崎啓支さんの新しい本の書名です。
私自身、山崎さんからはこの10年以上にわたり教えを受けていて、これまで出版された10冊以上の本もほとんど持っています。
今回の本はNLP(神経言語プログラミング)の要素が入っていて、これまでと重なる部分はありますが、意識・思考・感情・身体の関連性について、かつてないわかりやすさで解説されていることが何よりお勧めのポイントです。
実際、思考・感情・身体をコントロールすることがいかに難しいかを痛感している今だからこそ、その解説が心に深くしみこんでくる感覚を覚えました。

本の中では、インドの古い哲学の比喩を引用して、意識が王様(主人)、思考が御者(手綱)、感情が馬、身体が馬車だと表現されています。
つまり、この4つは別物。
「人間の意識の本質は思考でも感情でも身体でもない」
実際この言葉を何度も著者から直接聞いているわけですが、それでもわかっているのは、この短い一文を理解し、自分のものにすることは途方もなく難しいことだというだけです。

常に思考・感情・身体に振り回されているという現実

最近暑くなってきました。
部屋の温度が高くなると不快になり、集中力がなくなるので、私はエアコンのついリモコンに手を伸ばすことになります。
これは、ほとんど無意識的に行われた動作です。
今、リモコンを手に取ろうとした私というのは、冷房した方がいいかどうかを考えたわけではありません。
ただ暑いのが不快だから何も考えずに冷房しようと行動しただけです。
身体が感じる不快さが行動を決めたということです。
先の比喩に当てはめると馬車が主人の意向をきかずに、勝手に動き出したようなものです。
現実的に考えれば馬車が御者や馬を無視して、それだけで暴走することをイメージするのは難しいですが、例えば馬車は魔法を使えるというような前提をおくと、ちょっと納得しやすいかもしれません。
実際、身体の欲求の力は魔法のように大きいものです。
医師からダイエットを指導され、甘いものを控えるように言われている人が、もともと極度なスイーツ好きであったなら、目の前のケーキの誘惑に負けそうになるのは必定でしょう。
食べたいものを我慢するというのは本当にツライこと。
病気になるリスクを冒しても1回ぐらいなら構わないのではないかという理屈で、手を伸ばす姿が容易に想像できます。
多かれ少なかれ同じような行動をした覚えがあるという人がほとんどでしょう。
私もですが…。

意識的に習慣を変えることができるという真実と現実

この本のテーマは「習慣化」。
考えてみれば私たちの生活はほとんど「習慣」によって成り立っています。
習慣というのは、選択する必要なく無意識的にできていることです。
歯を磨く、朝食をとる、決まった時間に仕事をする、などといったことを生活のルーティンとして私たちは自然に行っています。
選択するというのは、どう行動するか迷うことです。
答えを出さなくてはならない状態が長いほど、多くのエネルギーを使います。
習慣化されたものは選択の必要がないので、エネルギー効率からいっても都合がいいのです。
一方、習慣には弊害もあります。
身についてしまった好ましくない習慣です。
依存症とよばれるぐらい何がないとダメな状態は極端な例ですが、身近なところにもたくさんあります。
何かにつけて自分を否定するような思考習慣などはその典型です。
出来事の中で自分がダメだという要素を見つけて自分を否定します。
それが習慣になっていると、本来の自分を発揮する機会を失ってしまいます。
どうしたらそのような好ましくない習慣を好ましい習慣に変えることができるのか?
そのカギは、「わたし(意識)、思考、感情、身体は別物」だということを深く理解することです。
そう深く、です。
本の中には具体的な実践方法が丁寧に書かれています。
これを実践できたら本当に人は変われると確信します。
ただし、簡単ではないのです。
実際にそのワークの効果を多少なりとも知っている私ですが、それを進んでやりたいかどうか素直に白状すると、実はやりたくないのですから。
感情がイヤだといっているのがわかるのです。
好ましくはなくてもこれまで習慣になっていることを手放すことに感情が抵抗しているということです。
結局、感情の好みに合わせてこれまでのように生きるのか、それとも意識的に自分の「意志」を使って違う自分になるのか、それを選択しなくてはなりません。
選択を先延ばしにしたい自分と、選択して前を向き成長したい自分が同時に存在しています。
本のタイトルには、「シンプルなコツ」とありますが、方法はシンプルであっても、実践は全くシンプルではないという現実…。
どちらを選ぶのかはやはり私たち自身の選択なのです。

(2020年6月7日 岩田)

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