「鳥の目」「虫の目」「魚の目」

スマホアプリの道順案内と地図

『話を聞かない男 地図が読めない女』というベストセラーになった本があります。
読まれた方も多いかもしれませんね。
男性と女性の違いを短い言葉に表した絶妙なタイトルですが、すべての人にあてはまるということはもちろんありません。
ちなみに私も例外。
「地図の読める女」です。
むしろ地図を頭に入れてからでないと、知らない街を歩くことが恐ろしく感じられます。
今どきはスマホのアプリに行先を入れたら、目的地まで道案内してくれますが、実はそれが大の苦手。
以前、京都の四条烏丸の交差点から徒歩5分のビルに行こうとしたところ、完全に方向がわからなくなったことがあります。
交差点で私が少し向きを変えただけでグーグルマップの矢印はフラフラと動き、一体どっちに歩いたらいいのか見当がつきませんでした。
結局、待たせてしまっている方に連絡をし、なんとかたどり着きましたが、「私は方向音痴ではない」という日ごろからの自信が、その時はかなり揺らいだのでした。
京都だし、5分程度だし、と高を括っていて、ちゃんと地図を確認していなかったのが原因です。
もともと地図が好きなので、通常は現地の地図を見ながら、目的地までの道を頭の中でシュミレーションしてから出かけます。
するとほぼ間違えません。
以前パリに行った時は、周到に準備しました。
グーグルの片棒を担ぐわけではありませんが、マップに行きたい場所を保存できるのは便利です。
地図に点在するそれらの場所をどう効率よく回れるかを考えるのは私にとっては楽しい時間でした。

3つの視点を使うこと

さて、長々とこんな話をしたのは「鳥の目」という言葉を思い出したからです。
「鳥の目」とは鳥が空から地上を見下ろすようにものごとを俯瞰してみる視点。
「虫の目」(虫のように目の前のことを観る細かい視点)、「魚の目」(魚のように潮の流れを読む視点)という言葉もあります。
例えば美しいバラ1輪にズームした写真は「虫の目」、そのバラが咲いている庭園全体を上から撮影したものは「鳥の目」になりますね。
「鳥の目」の良さは、一目で全体像がわかるところです。
私が紙でもデジタルでも、地図という地図を好きなのは、ある程度の範囲を一度に把握できるからで、むしろそうしないと落ち着かないのだと気づきました。
一方で「鳥の目」だけだと、細部までわかりません。
「虫の目」で部分をしっかり見ることも必要です。
デジタルのマップはその点便利ですね。
街全体から一気にどこかの一区画に絞り込むことができ、気になる場所をクリックするだけでそこの情報が出てくるというのは、まさに「鳥の目」と「虫の目」を使い分けることができるということです。
全体から一部へ。
そして一部から全体へ。
日常生活でもこの変換をスムーズに行うことは大切でしょう。
「鳥の目」になっている時は「虫の目」を意識してみる。
「虫の目」で見ているようなら「鳥の目」に切り替えてみる。
そんなことができるといいですね。

さらに「魚の目」で見るということ

3つの視点の中で難易度の高いのは「魚の目」ではないでしょうか?
魚は本能的に流れをとらえて、生き延びやすい方向にむかっているはずです。
人間はどうでしょうか?
人間関係、仕事のプロジェクト、人生、運、時代、…。
あらゆることには流れがありますが、ほとんどの場合、どんな流れの中にいるのか認識するのが難しいのではないでしょうか?
流れをとらえるのに役立つのは何でしょう?
過去の経験や知識も役に立ちそうです。
ただし、流れをとらえることの目的は、未来にむかって望ましい選択をすること。
過去のデータだけでは不十分でしょう。
多分、直観・直感のようなものも必要です。
直観・直感、このとらえどころのないものについて、大きな関心を寄せていますが、まだそれを語る自信は私にはありません。
もう少し追求してみたいと思っています。
みなさんもぜひ「魚の目」を意識してみてください。
そして、何か気づいたら私に教えてくださるとうれしいです。

(2020年2月16日 岩田)

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