本棚は心のバロメーター

モノは持ち主の心の状態を反映している

学生時代、ひとり暮らしをしていました。
ある時、遊びに来た友人のひとりが私の本棚をしげしげと眺めていました。
彼女は単純にどんな本があるのか興味があったのでしょう。
が、私自身は、自分の内面を覗かれているような落ち着かない気持ちになったことを覚えています。

モノは持ち主の嗜好や個性を反映するものです。
部屋に置かれた家具、キッチンの調理器具や食器、クローゼットに収まっている洋服・小物など、どれもその主人がどんな人なのかを表しています。
中でも本棚はその筆頭に挙げられるものではないでしょうか。

本棚に並んだ背表紙を見ると、持ち主の興味がどんなことにあるのかが伝わってきます。
一冊一冊のジャンルはバラバラでも、本棚に収まるとそれなりの全体感が生まれるようにも感じます。
かつて私が落ち着かない気持ちになったのも、自分をさらけ出しているような気分になったからだと思います。

定期的な棚卸しは余裕を生む

本は好きですが、頻繁に買わないように気をつけています。
ですが、手元に置きたいと思った本はつい買ってしまいます。
部屋の小さな本棚が、だんだんと窮屈な状態になっていくは当然の成り行きです。
本棚を眺めて、少し息苦しいような感覚を覚えたら、それが棚卸しのサインです。

一冊ずつ取り出しては、今の自分に必要なのかどうかをチェックします。
結果的に買取り依頼用のダンボールには30~40冊が詰め込まれることになります。
さらに残った本の置き場所も今の気分に合わせて移動します。
もともとの数はそれほど多くないので、時間はあまりかかりません。
すべて終えると、小さな本棚のそこかしこに隙間が生まれています。
それぞれの本が新たな場所にゆったりと収まっている様子を見るのは、何とも言えない気持ちよさです。

ふり返ってみると、こうした棚卸しを定期的に行ってきました。
特に毎年9月後半は仕事の区切りがつく時期。
これからまた新しい何かを受け入れていくためにも、心の中にある程度のゆとりが必要です。
本棚に隙間を作るのは、自分の内面とのつながりからすると必然です。

人によっては本棚でなく、家のどこか別の場所がそれにあたるのかもしれません。
改めて身の回りを新鮮な目で見渡し、棚卸しを考えてみるのはいかがでしょうか?

(2017年9月23日 岩田)

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