聴き方のレッスン(2)聴き方の基本スキル-その2

聴き方の基本スキル〈その2〉ペーシング

基本スキル、前回は
1.相手に視線を向ける を取り上げました。
今回は、ペーシングのスキルです。
ペーシングとは、ラポール(信頼関係)を意図的に作るためのスキルです。

私たちはよくわからないものには心を開かない

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私たちの無意識の中には自分を守るための安全基準があり、
よくわからないものに対しては簡単に心を開かないようになっています。
初対面の人に緊張し、よく知っている人には安心するのは無意識の働きです。
ペーシングにより、相手が安心して緊張を解き、
あなたを受け入れる状態になってもらうことが可能になります。
具体的には、相手と自分に共通している部分を発見し、わかりやすく示したり、
相手のペースに気づいて合わせたりすることです。

人は自分のペースを守りたい

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誰かと一緒に歩いている時、相手が自分より歩くのが速かったら
どんな感じがしますか?
まずは相手の速さに違和感を感じるでしょう。
普段の自分のペースではないから、並ぼうとすれば
少し頑張って速く歩くことになります。
歩くスピードに気を取られると、当然相手の話には集中しにくくなります。
一方、相手と自分の歩くペースがほぼ同じであれば、
歩くスピードを気にする必要がありません。
ストレスなく一緒に歩けます。
話の内容や相手の気持ちにも十分に意識を向けることができます。
人は自分のペースを守れる状態に、安心感を抱き、
心を開いて相手に向き合うことができるようになるのです。
人の話を聴くという時に、ペースが合っているのかどうかは重要なポイントです。
気持ちが通う対話ができるような時というのは、
無意識にペースが一致しているものです。

共通点があると人は安心する

初対面であっても、たまたま出身地が同じだったり、
共通の趣味があることがわかったりすると、親近感が増すものです。
無意識はわかっていることに安心感を抱くのですから
共通点が多い人ほど信頼しやすくなります。
そのためには、聴き方のスキルの1「相手に視線を向ける」に
関連しますが、相手に関心をもって観ることが必要です。
緊張して自分にばかり意識が向かっていると、
相手を観る余裕がなくなってしまいます。
相手との共通点を探しつつ、ペーシングのスキルとして
下の4つのポイントを取り入れてみましょう。

ペーシングの4つのポイント

①姿勢/表情/動作

相手の背筋が伸びていたら、自分もちょっと伸ばしてみる、
笑顔に対しては軽く微笑んでみる。
姿勢や表情を少しだけ真似てみます。
また、不自然にならない程度に、足を組む、手の位置などを
鏡のように合わせるミラーリングという手法もあります。
見た目から合わせるようにするということです。

②声の調子(速さ、高低、間合い、ボリューム)

会話が弾んでいる人たちの声の調子は似ていると感じるでしょう。
しんみりと話している人たちは静かなトーンで、ゆっくりと聴き合っていますね。
相手と声の調子を合わせ、スピードも同じにしていくと
互いに心地よく会話をすることができます。

③呼吸(速さ、深さ)

人は自分のペースを大事にしていると書きましたが、ペースが最も表れるのが呼吸です。
落ち着いている時は自然と呼吸がゆっくりになります。
逆にあせっていると速くなりますね。
呼吸を合わせて一緒にいてもらうだけで、心地よいものです。
いつも相手の呼吸に合わせるのは難しいですが、気づいたときには
意識してみるといいと思います。

④価値観

相手が大切にしている価値観、こだわり、信念も相手の個性です。
無意識が同じであることに安心感を持つということは、
違うことに対しては拒絶反応を持ちやすいということです。
で、自分の価値観と異なることを言われると、つい反論したくなってしまいます。
人は反論されると、否定されたと受け取ってしまう場合があります。
そうなると自動的に心を閉じてしまい、ラポールも壊れてしまいます。
心構えのところにあげましたが、何より否定しないことが大事です。
「あ、自分とは違うんだなぁ」と、心の中で違いがあることを認めるだけにして、
「まずは話を聴いてみよう」「そういうとらえ方もあるんだなぁ」と
客観的になれるといいですね。

形から入ってペースを合わせていくのがスキルです。
これだけでも役に立ちますが、ペーシングはさらに深めることができます。
いずれ機会があればそこにも触れていきたいと思います。

(2016年11月29日 岩田)

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