水野敬也『夢をかなえるゾウ3』
今回は「ブラックガネーシャの教え」
第1作の『夢をかなえるゾウ』が出たのが2007年。
自己啓発本でありながら、おかしな関西弁の神様ガネーシャのインパクトは破壊的で、大ブームになりました。
この本はシリーズ3作目で、2013年の出版です。
久しぶりに手に取ったわけは、先月アマゾンの電子書籍読み放題に入っていたからという単純な理由でした。
「懐かしい~」ぐらいのノリで読み始めたら、止まらなくて最後まであっという間に読んでしまいました。
主人公は、人生を変えるためにパワーストーンや占いに走るOL。
彼女の家にしばらく住み着くことになったガネーシャは、今回ブラックに変身!
このブラックガネーシャ、相変わらずのハチャメチャなキャラですが、本質は外していません。
「楽をして夢を実現させようとしてはいけない。成長には必ず痛みが伴う」というメッセージは一貫しています。
何しろ最初はできるだけ楽に成功するために奔走していた主人公ですが、最後の方になると、
「それ以上に苦しいことって、一体何が始まるんだろう。
でも、ここで引き下がるわけにはいかなかった。
私はもう決めたのだ。
自分の中でずっと眠り続けていたもう一つの人生を進み続けるということを。」(本文より転載)
と、どんなことにも立ち向かう姿勢を見せるのですから。
体験を通して学ばせながら、意外にも相手に寄り添っている。
ガネーシャの姿は真のコーチなんだな、と思いました。(一応神様だから?)
緊張とリラックスのバランス
この本の巻末には「ガネーシャの教え」がまとめられています。
自己変革に取り組みたいという人には、役に立つことが書かれているので、どれかひとつでも実践したら効果があるはずです。
一方で、あまり難しく考えずに読むのもいいのではないかと思います。
ガネーシャの笑いのセンスは意味不明なところも多いですが、それでもあの関西弁は笑えます。
日々の生活の中で、やはり笑いは大事な要素。
どうかすると緊張の方に偏りがちな日々のなかで、ゆとりをもたらしてくれるものです。
この本を読んでいると、緊張がフッとゆるみ、リラックス効果を感じます。
そして、そんな笑いの中にキラリと光る言葉の数々。
油断したところにやってくる驚きは、脳への心地よいショックになります。
人はギャップに魅力を感じるようになっているようですが、やはりガネーシャはただものではなかったと思った瞬間、それを実感しました。
物語としても、最後に少しホロリとさせられて…。
久しぶりの『夢をかなえるゾウ』シリーズでしたが、多くの人に愛されている理由がわかった気がします。
(2017年6月3日 岩田)