山頂までのヒーローズ・ジャーニー

竹田城跡へ登山道…

先月末、兵庫県朝来市和田山で一泊して、翌朝竹田城跡を目指しました。
竹田城跡といえば、「天空の城、日本のマチュピチュ」と呼ばれ、近年話題になっていますね。
今年の大河ドラマの主人公である羽柴秀長が一時城主となったこともあり、さらに注目されているようです。
歩いて登ろうと思って調べてみると、竹田駅から竹田城に徒歩で向かうには、表米(ひょうまい)神社登山道か駅裏登山道が主なルートとのことでした。
普段から登山などしたことのない私は急な坂や階段が続くらしい前者を避け、後者を選びました。
平日だったせいか午前10時前に駅に着いても、ほとんど観光客の姿はなし。
案内所の方に教えていただいた登山道の入り口まで歩きました。
こちらの登山道は900mほどで城跡まで約40分という道のりです。
平地なら結構たくさん歩いているので、40分ぐらいなら何とかなるのではないかと思って登り始めたのですが、そんな簡単なものではないことがすぐにわかりました…。

ちょうど大学の授業で最後にヒーローズ・ジャーニーのことを少し話そうと思っていたので、ついわが身を置き換えていました。
因みにヒーローズ・ジャーニーとは、神話学者ジョゼフ・キャンベルが古今の英雄神話に共通する構造があることを示したものです。
この「英雄の旅」では、主人公が非日常の世界への旅に出発し、メンターや悪魔と出会いながら変容した後、元の世界に帰還します。
神話の英雄でなくても、私たちの生活の中にも小さな英雄の旅がありますよね。
私の登山も非日常でした。
誰の姿も見えない山道を一歩一歩登っていくと、100mごとに残りはあと○○mという標識が立っています。
平地なら100mなどなんでもない距離ですが、登山の100mは全く違うことがよくわかりました。
とはいえ、引き返すわけにもいかず、たびたび休憩しながら、やっと半分になった時にはすでに30分ぐらい経っていました。
「あと半分かぁ」と、ちょっとうんざりしながら一旦石に腰を下ろしました。
すると、これまであまり目に入らなかった木々の緑が鮮やかに目に入ってきました。
さらにカサッと音がしたので、目をやると、一頭のシカがじっと私を見下ろしていたのです。
その後立ち上がって動き出した私を、そのシカが静かに目で追っているのもわかりました。
ヒーローズ・ジャーニーにこじつけるなら、山道に苦しむ状態は悪魔(試練)ですが、木々やシカはメンターとして私を支えてくれたのかもしれません。
少し元気をもらって一歩一歩登っていった先に、やっと竹田城跡の入り口が見えてきました。
苦しい登山も進み続ければ、やがてゴールにたどり着くのだという当たり前のことを実感しました。
天気にも恵まれ、竹田城跡は素晴らしかったです。(上の写真をご覧ください)
古の人がどうやってあれだけの石垣を築いたのかにも驚かされましたし、訪れることができて良かったです。
苦労して歩いて到達したから余計にそう思えたのでしょう。
実際帰りはタクシーで駅まで戻り、あっという間だったので、もし行きもタクシーだったら同じ感動が得られたかどうかわかりません。
私にとっては小さなヒーローズ・ジャーニーでしたが、帰還したときには心に大切な記憶が残ったことを感じられました。

(2026年7月12日 岩田)

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