「依存」はそんなに悪いもの?

依存と自立は、反対概念ではない

カウンセリングに携わっていると、「依存と自立」という問題は避けては通れません。
自立には、身辺的自立、精神的自立、経済的自立など、様々な側面があります。
親離れ、子離れが重要視され過ぎると、子どもは依存心を断ち切って親から自立していくべきだと考えている人たちが多くいます。
極度に、「依存という甘えは絶対に許さないし、あってはならない」と信じて苦しんでいる人にも出会いました。
果たして、「依存」はそんなに悪影響を及ぼすものなのでしょうか?
依存することは、むしろ自立に必要なことではないでしょうか。
実際には、依存を排して自立しようと努力し過ぎると、「孤立」してしまいます。
むしろ、親子、夫婦、親友、恋人など、最も身近な相手との間にある相互依存関係が確立されていることで、社会的に安定した行動がとれるでしょう。

人間が自立して行くためには、その過程で、家族の依存関係に守られることが大切です。
家庭内での安定や守りが弱いと、家庭に居場所を見いだせずに、家の外にその場を求めて仲間とグループを作ろうとします。
5年位前に、大切な友人が突然亡くなられて、今にも後追いをされるのではないか…と、とても心配だった方が居ました。
私は、頻繁にお会いして、しっかり依存してもらえるようにしました。
1年ほど経って、少しづつ安定されて来たので、期間を開けて接するようになりました。
「分かって欲しい」「理解して欲しい」「受け止めて欲しい」「寂しい」…というメッセージが発せられたら、慎重且つ全力で向き合う必要があります。
人には所属欲求があって、繋がりを求め、一人では生きていくことが出来ません。
ましてや心の病いやエネルギーの枯渇した状態の時は、「依存せずに、自立を…」と促されると、見捨てられた感が強くなって、何の解決にもなりません。
依存が必要な時期に、十分な依存的関係を経験できないと、その後の人間関係が不安定になったり、問題が生じやすくなります。
最近では、依存から脱却することで自立するのではなくて、身近な人たちとの間に、適度な相互依存をもつことで、自立が進められていくようになるといった見方がとられるようになってきています。
適度な依存と、依存していることを自覚して、周りの人達に感謝しながら、日々の社会生活を送っていきたいものです。

(2018年12月3日 若杉)

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