子育て散歩道(5)ー親離れ・子離れ(続き)
2.子離れできない親が、子どもに及ぼす影響
先回に引き続き「親離れ・子離れ」についてお話を進めます。
子どもの成長は、親の子離れ準備期間
子どもが「自分で何をするべきか?」「しなかった場合にどうなるのか?」――といったことを考えること、また、失敗を経験することも、時には必要です。
失敗から学ぶことはたくさんあります。
失敗を経験しないと、挫折した時の反動が大きくて、次にどうしたらいいのか分からない大人になってしまうかもしれません。
過保護に育てられたせいで、結婚・出産をしても、自分に自信が持てなかった人もいます。
80代のお母さんから、悩み相談を受けたことがあります。
息子さんは60代。
ご主人が早くに亡くなられて、母一人子一人の生活。
共依存の関係になっていたようで、息子さんが20代の頃、勤め先からお盆休みで帰省され、いざ帰るとなると、お母さんが、もう一日、もう一日…と引き留めてしまわれました。
居心地もいいので、そのまま実家に居続け、あげくに引きこもり状態に。
ご自分が居なくなった後の、息子さんのことが心配で…と。
子どもに失敗してほしくないというのは自然な親心です。
ただ、それが行き過ぎると子どもの成長の機会を逸してしまうことも事実なのです。
【キーワード】子どもに、失敗をさせてあげる
3.子離れできない親の心理とは?
子離れできない親が増えているということは、「自立の機会」を奪われた子どもたちがかなり増えているということになります。
表れてくる親の行動としては、下のようなものがあります。
・子どもの行動を制限する
「~しなさい」「~してはダメ」など、子どもがしようとすることに対して、制限を加える。
勿論、危険な事などは、即座に注意すべきですが、どちらでもいいことに制限を掛けてしまいます。
親が、子どもを、自分の思い通りにさせたいので、コントロールしようとするのです。
「あなたのためなの!」などと言われると、子どもとしては、「自分が悪いことをした」と、謎の反省をさせられてしまいます。
子どもは主体的に選択することが、いつまでたってもできません。
・条件を満たさないとダメ
「テストで〇〇点以上」とれば良い子、など、条件を満たさないと愛さないなどというのが、典型的です。
子どもは親の期待することに応えようと、無理をします。
誰かと比べられることが本当はイヤでも、親に認められるために頑張るようになります。
・子どもに先立って何でもする
子どもに任せておけばいいようなことまで、親が介入してやってしまいます。
自分でやるからこそ、分かることもあるので、上手にできなくても大丈夫です。
・子どものすべてを知っておきたい
自分の子どもが、いまどこで誰と何をしているのかを、常に把握したがります。
大きくなっても、まるで幼稚園児に接するかのように「過保護な対応」をしてしまうのです。
そういう環境で成長すると、プライベートがなくなり、「本音」を自覚することができず、「建前だけの人」になってしまいます。
【キーワード】
こどもの選択権、主体性を尊重する
大事な我が子であるだけに、子育てには、つい力が入ってしまいがちですが、一呼吸おいて少し遠目からも見る余裕が欲しいものですね。
(2017年10月10日 若杉)