私たちは幻想の中に生きている

今年最初の読書会のテーマは「脱同一化」

毎月開催中の『コーチングハンドブック』読書会。
今日は第5章でした。
何度も書いていますが、この本では人間のプログラムとどう関わるのかということが大きなテーマになっています。
プログラムというのは、ある「刺激」に対して決まった「反応」が起きるというもの。
私たちの中には無数のプログラムがありますが、特に注意を払わなければそれに気づくことは本当に難しいものです。

プログラムは、価値観や信念、思い込みという言葉でも表現できます。
そして、ものごとを見るときのフィルターとなります。
「お金がないと幸せに暮らせない」という思い込みがあると、預金残高を見るだけで将来の不安が増幅します。
「人生はなんとかなる」という信念をもつ人は、それほど不安を感じないでしょう。
残高は同じでも呼び起こす感情は個々のプログラムが決定するのです。
不安になるよりは、楽観的な方がいいようにも思いますが、どちらもフィルターの影響を受けていることには変わりがありません。

フィルターは事実を歪めます。
結局私たちは歪んで見えているものを真実だと思い込み、それによって喜んだり、苦しんだりしているのです。
喜んでいる場合はとりあえずいいとして、苦しんでいる場合はなんとかしたいものです。
苦しみを生み出しているのは歪んだフィルターなのですから、それを変えるしかありません。
「脱同一化」というのは、プログラムによって完全に自分が支配された「同一化」の状態から、「プログラムと自分を切り離すこと」です。
フィルターの影響を受けずにものごとを「ありのまま」に見ることです。
「ありのまま」といっても、それはそれで難しいわけですが、少なくともフィルターの影響を少なくすることで、苦しみは軽減されます。

幻想の中に生きている私たち

第5章の冒頭には「問題の大半は幻想にすぎない」と書かれています。
「幻想?!」とツッコミたくなりますが、ふり返ってみれば確かに私たちは自分が同一化しているプログラムが作り上げた幻想に苦しんでいます。
残念ながらそれらの幻想にはあまりにリアルな実感があるので、自らそれが真実でないことに気づくことはほとんど不可能です。
コーチとして客観的に人の話を聴いていると、クライアントの方がその幻想にあえて自分を縛りつけているのではないかと感じることがあります。
が、そう感じる私自身も自分の幻想にはなかなか気づけないというのが現実です。

誰か客観的な立場の人に話を聴いてもらうことは、幻想に気づくための有効な手段です。
コーチングでもいいし、冷静に話を聴いてくれる人を探してもいいと思います。
ふとした質問で、ハッとしたらそれは幻想に気づくきっかけかもしれません。

幻想とは思い込みの世界。
それがまわりに満ち溢れていることを知った上で、人の話を聴くと、新たな認識ができるようにも思います。

(2018年1月14日 岩田)

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